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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:18.3.20)
第122巻 第3号/平成30年3月1日
Vol.122, No.3, March 2018
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第120回日本小児科学会学術集会 |
教育講演 |
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木村 宏 561 |
教育講演 |
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どう診る?こどもの鼾と扁桃肥大〜A Decade of Change〜
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杉山 剛 571 |
教育講演 |
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井上 信明 578 |
教育講演 |
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田中 恭子 584 |
教育講演 |
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小児の片頭痛―ガイドラインに基づいた治療と診療のポイント―
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山中 岳 594 |
教育講演 |
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エコーで診る心機能(一般小児科医〜小児循環器医の基本)
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増谷 聡 601 |
教育講演 |
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桑原 健太郎 610 |
教育講演 |
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乳幼児健診のpitfall―健やかな子どもたちの発達をめざして―
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平澤 恭子 620 |
日本国際小児保健学会推薦総説 |
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田中 孝明,他 627 |
原 著 |
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大原 信一郎,他 638 |
症例報告 |
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倉岡 彩子,他 644 |
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水野 奈々,他 650 |
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浅沼 秀臣,他 656 |
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藤田 雄治,他 664 |
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地方会抄録(香川・千葉・石川・熊本・山陰・鹿児島・福岡)
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667 |
日本小児科学会小児救急委員会主催 |
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第6・7回小児診療初期対応(JPLS)コース開催報告
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689 |
日本小児科学会医療安全委員会主催 |
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第6回Sedation Essence in Children Under Restricted Environment(SECURE)コースの報告
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690 |
日本小児科学会男女共同参画推進委員会報告 |
リレーコラム キャリアの積み方─私の場合18 |
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691 |
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693 |
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698 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2018年60巻1号目次
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700 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2018年60巻2号目次
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701 |
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704 |
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705 |
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706 |
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707 |
【原著】
■題名
小児期発症常染色体優性多発性嚢胞腎における早期診断と腎容積測定の臨床的意義
■著者
東京女子医科大学腎臓小児科1),東京女子医科大学八千代医療センター小児科2),福島県立医科大学小児科3),埼玉医科大学小児科4),東京医科歯科大学小児科5),岡山大学小児科6),東京大学小児科7),仙台赤十字病院小児科8) 大原 信一郎1)3) 三浦 健一郎1) 秋岡 祐子1)4) 吉田 雅樹2) 金子 直人1) 薮内 智朗1) 苗代 有鈴1) 多田 憲正1)5) 宮井 貴之1)6) 神田 祥一郎1)7) 菅原 典子1)8) 石塚 喜世伸1) 近本 裕子1) 川崎 幸彦3) 服部 元史1)
■キーワード
常染色体優性多発性嚢胞腎, 総腎容積, 小児, 高血圧, トルバプタン
■要旨
背景:常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)を小児期に早期診断する意義は高くないとされるが,近年小児でも両側総腎容積(TKV)の増加と腎機能低下の関連性が報告されている.
目的:本邦の小児ADPKDにおけるTKV測定の有用性を明らかにし,早期診断の意義と治療介入の可能性を検証する.
方法:2001年1月から2015年12月の間に当科において15歳以下で診断されたADPKD 19例を対象とした.診断契機,高血圧の有無,腎予後とTKVの関連性について,診療録をもとに後方視的に検討した.
結果:TKV 750 mL/1.73 m2未満(A群)と750 mL/1.73 m2以上(B群)の症例は各々13例と6例で,A群では11例(84.6%)が家族精査等で無症候性に診断されていたのに対し,B群では6例全例が症候性に診断されていた.高血圧合併はA群2例(15.4%),B群5例(83.3%)とB群で有意に多かった(p<0.05).最終観察時にCKD stage 3以上であった症例はA群1例(7.7%),B群3例(50.0%)とB群で有意に多く(p<0.05),推定糸球体濾過量の低下率はA群よりB群で大きい傾向にあった.
結論:小児期発症ADPKDのTKV測定は,高血圧合併や腎機能低下の進行リスクを把握する有用な手段となりうる.リスクの高い症例の早期把握で,早期治療介入による腎予後の改善が期待できる.
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【症例報告】
■題名
食事中の失神から診断に至った嚥下誘発性発作性高度房室ブロックの学童例
■著者
福岡市立こども病院循環器科1),同 総合診療科2) 倉岡 彩子1) 牛ノ濱 大也1) 内田 理彦2) 古野 憲司2) 中村 真1) 佐川 浩一1) 石川 司朗1)
■キーワード
発作性高度房室ブロック, 嚥下性失神, 神経調節性失神, ペースメーカ植込み
■要旨
状況失神はある特定の状況または日常動作で誘発される失神で,排尿・排便・嚥下・咳嗽・息こらえ・嘔吐などに起因し,神経調節性失神に分類される.嚥下誘発性失神は食道圧受容体の感受性亢進による迷走神経反射が原因とされ,誘因は固形物が最も多い.治療としては,しっかり咀嚼して少量ずつ嚥下するなどの生活指導が挙げられるが,重症例や心抑制例ではペースメーカが選択される.ここに,食事中のめまい・失神から嚥下性失神の診断にいたり,ペースメーカ植込みで症状が改善した9歳女児例を報告する.
7歳頃より食事中の回転性めまいがみられ,近医小児科・耳鼻科を受診するも原因は特定されなかった.その後も食事中のめまいを繰り返し,9歳時には食事中に呼びかけに応じなくなりおにぎりを落とし,1分ほどで回復することがあったため当院紹介となった.安静時および運動負荷心電図,心エコーでは有意な所見はなかったが,ホルター心電図で食事中のめまい症状に一致した最長RR間隔5.1秒間の高度房室ブロックが再現性をもって記録された.器質的疾患はなく嚥下誘発性発作性高度房室ブロックと診断,治療としてペースメーカ植込み(VVI)を選択し,めまい症状は消失した.
状況失神の診断は,詳細な病歴聴取から失神時の状況を把握することとともにホルター心電図も有用な検査の一つである.
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【症例報告】
■題名
頭痛を初発症状とし項部硬直を呈したGuillain-Barré症候群
■著者
名古屋市立西部医療センター小児科1),名古屋市立東部医療センター小児科2) 水野 奈々1) 小林 悟1) 吉田 智也2) 神岡 直美1) 濱嶋 直樹1) 村松 幹司1) 鈴木 悟1)
■キーワード
Guillain-Barré症候群, 頭痛, 項部硬直
■要旨
頭痛を初発症状とし,強い頭痛が遷延するため受診したGuillain-Barré症候群(GBS)の9歳女児を経験した.副鼻腔炎の罹患後に頭痛を自覚し,その後強い頭痛が遷延するため当院紹介受診した.頭痛を主体に全身の疼痛と項部硬直を認めた.初期には下肢深部腱反射が亢進していたが,髄液検査,末梢神経伝導速度検査,脊髄造影MRI所見より,GBSと診断した.免疫グロブリン投与により速やかに症状は改善し,後遺症を残さずに改善した.経過中深部腱反射の減弱・消失はなかった.GBSは四肢の筋力低下,深部腱反射減弱が主な症状であるが,中枢神経症状を伴う非典型例がある.本症例のように頭痛を初発症状とし,項部硬直を呈し,深部腱反射が亢進するGBS症例では中枢神経感染症と診断されることがあり,早期診断および早期治療のため,遷延する原因不明の頭痛を呈する症例ではGBSを鑑別に入れる必要がある.
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【症例報告】
■題名
重症低ホスファターゼ症に対する酵素補充療法後の臨床経過
■著者
北海道立子ども総合医療・療育センター新生児内科1),札幌医科大学小児科2) 浅沼 秀臣1) 小杉 陽祐1) 石井 玲2) 鎌崎 穂高2)
■キーワード
低ホスファターゼ症, 酵素補充療法, アスホターゼアルファ, 気管軟化症
■要旨
けいれん発作が先行した重症低ホスファターゼ症の症例に対し,3か月齢から酵素補充療法を開始し,3年以上にわたる治療の結果,その効果についての知見を得たので報告する.治療開始前に強いくる病様変化が見られた長管骨,ベル状変化を来した胸郭と菲薄化した肋骨所見は,開始後2か月から明らかな変化が見られ,くる病様所見は1歳0か月でほぼ消失,ベル状胸郭は7か月齢で改善した.本症例における呼吸障害の主な原因は気管軟化症と考えられたが,酵素補充療法開始後2年で改善し,呼吸器離脱が可能であった.運動発達については,退院した10か月齢時点では未頸定であったが,1歳6か月で座位,2歳1か月で歩行を獲得できた.3歳時には言語,社会面においては年齢相当の発達を示したが,認知能については1年ほどの遅れを認めた.本疾患は乳歯の早期脱落を特徴とするが,本症例においては2歳前までに2本の乳歯早期脱落を認めた.歯の所見からセメント質,エナメル質形成不全が考えられた.有害事象は注射部位反応と一時的な腎石灰化であったが,酵素補充中止には至らなかった.今後は運動能,認知能のキャッチアップは可能なのか,可能であればどの時点で年齢相当に追いつくのか,また,永久歯についてアルカリホスファターゼ活性低下の影響があるかどうか今後の歯科的フォローも重要である.
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【症例報告】
■題名
気管支喘息発作時の塩酸プロカテロール過量内服による乳酸アシドーシス
■著者
君津中央病院小児科 藤田 雄治 澤田 大輔 林 美幸 高田 展行 木下 香 有馬 孝恭 諏訪部 信一
■キーワード
塩酸プロカテロール, 気管支喘息, 乳酸アシドーシス
■要旨
塩酸プロカテロールは気管支喘息診療において気管支拡張薬として非常に多く使用されている.気管支拡張薬として即効性を有し,気管支喘息発作の治療には不可欠である.代表的な副作用として動悸,振戦,頻脈,低カリウム血症,高血糖などが知られている.塩酸プロカテロールは乳幼児から成人まで幅広い患者に対応できるよう様々な剤型があり,発作時には自己判断で自宅での吸入や内服が可能となっている.その反面,乱用や過量投与などには注意が必要である.
今回我々は塩酸プロカテロール過量内服により,頻脈,振戦,低カリウム血症に加え,乳酸アシドーシスを認めた小児例を経験した.症例は8歳男児,喘息発作時に自己判断で塩酸プロカテロール25 μg錠を1回4錠内服したため救急外来受診した.動悸,振戦,頻脈,低カリウム血症を認めたため入院にて経過観察とした.無治療で内服6時間後に動悸,振戦,頻脈,低カリウム血症は改善傾向であった.また入院時乳酸4.7 mmol/L,内服6時間後には6.4 mmol/Lと乳酸アシドーシスを認めた.内服24時間後にはいずれも改善認め退院となった.
これまで海外ではβ刺激薬過量投与による乳酸アシドーシスが報告されているが,我が国での報告は数少なく,小児例での報告はみられない.気管支喘息発作の発作治療薬としてβ刺激薬を処方する際には,使用に関する十分な患者指導が必要であると考える.
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