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日本小児科学会雑誌 目次

(登録:17.3.21)

第121巻 第3号/平成29年3月1日
Vol.121, No.3, March 2017

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第119回日本小児科学会学術集会
  教育講演

子どもの心身症をどう診るか〜改訂版ガイドライン集を利用して〜

小柳 憲司  521
  教育講演

酸化ストレス制御と小児疾患治療

塚原 宏一  527
  教育講演

国際移動する子どもたち:海外へ行く子ども,日本に来る子どもの健康を守る

中村 安秀  536
  教育講演

血友病治療の最前線と展望

嶋 緑倫  543
日本小児内分泌学会推薦総説

ミクロペニスの診断と治療

石井 智弘  553
原  著
1.

重症心身障害児を持つ親の離婚

小川 千香子,他  563
2.

カテーテル関連血流感染症の削減に向けた取り組みとその効果

渡邉 健太郎,他  571
3.

マイコプラズマ感染症の診断におけるLAMP法と抗原迅速診断キットの比較

黒田 真実,他  577
4.

クリプトスポリジウムの小児集団感染の臨床像

山内 葉那子,他  583
5.

小児心筋炎に対する体外式膜型人工肺を用いた治療

浦田 晋,他  589
症例報告
1.

心室性期外収縮として経過観察中に発症した拡張型心筋症

小野 晋,他  597
2.

急性の歩行障害,排尿障害で発症したアトピー性脊髄炎

上原 朋子,他  604
3.

T3製剤が有効であった多発性肝血管腫による甲状腺機能低下症の2例

大谷 岳人,他  610
論  策
1.

B型肝炎ワクチン定期接種化に向けた個別対応による広報と接種意義説明の有用性

垣内 俊彦,他  616
2.

小児科でのクリニカルパス導入の取り組みとその効果

小池 隆志,他  623

地方会抄録(大分・長野)

  631

編集委員会への手紙

  645
男女共同参画委員会報告
  リレーコラム キャリアの積み方─私の場合12

ある新生児科医の話

  646

日本小児科学会理事会議事要録

  648

お知らせ 専門医試験結果

  653

査読者一覧

  655

日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2017年59巻1号1月号目次

  657

雑報

  661

医薬品・医療機器等安全性情報 No.339

  664

医薬品・医療機器等安全性情報 No.340

  665


【原著】
■題名
重症心身障害児を持つ親の離婚
■著者
名古屋大学大学院医学系研究科小児科学1),豊田市こども発達センター小児神経科2),名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター生物統計・バイオインフォマティクス3),日本福祉大学子ども発達学部心理臨床学科4),名古屋大学大学院医学系研究科障害児(者)医療学寄附講座5)
小川 千香子1)  三浦 清邦2)  伊藤 祐史1)  城所 博之1)  平川 晃弘3)  根来 民子4)  夏目 淳1)5)

■キーワード
重症心身障害児(者), 離婚, 虐待, 睡眠障害, 家族支援
■要旨
 【目的】親の離婚は子どもの養育に大きな影響を与える.重症心身障害児の親の離婚の現状と,離婚につながる危険因子を調べ,より良い診療・支援に役立てる.
 【方法】1995年4月1日から2011年3月31日までの16年間に出生し,豊田市こども発達センターを利用した豊田市在住の重症心身障害児(大島分類1から4群に入る児)39例を対象とした.親の離婚の有無と患者・家族背景を診療録,療育記録から後方視的に調査した.離婚の有無で2群に分け,Wilcoxonの順位和検定とFisherの正確確率検定を用いて比較した.
 【結果】調査時2014年9月30日までに,親の離婚は39組中6組(15%)で認めた.子どもの医療的ケア,超重症児(者)スコア,親の年齢,きょうだい数,療育開始時期,親の共働きは,離婚の有無の2群間で差を認めなかったが,虐待・家族間暴力は離婚あり群で有意に多く(あり67%,なし3%,p<0.01),加害者は全て父親であった.また,子どもの睡眠障害を離婚あり群で多く認めたが有意差はなかった(あり83%,なし45%,p=0.18).
 【結語】重症心身障害児の親の離婚率は一般の離婚率に比し高くなかった.重症心身障害児の親の離婚は,子どもの医療的ケアや重症度にはよらず,虐待・家族間暴力が関連していた.重症心身障害児の家庭においては,父親の役割に注目した支援や子どもの睡眠障害への積極的な介入も重要である.


【原著】
■題名
カテーテル関連血流感染症の削減に向けた取り組みとその効果
■著者
東京大学医学部小児科1),東京大学医学部附属病院無菌治療部2)
渡邉 健太郎1)  加藤 元博1)2)  張田 豊1)  関口 昌央1)  塩澤 亮輔1)  樋渡 光輝1)  滝田 順子1)  岡 明1)

■キーワード
カテーテル関連血流感染症, 支持療法
■要旨
 背景:皮下トンネル型中心静脈カテーテル(CVC)は長期の化学療法を行う患者にとって重要な役割を果たすが,カテーテル関連血流感染症(CRBSI)のリスクがある.CRBSIの頻度を削減するための対策を立案・実行し,その効果につき検討した.
 患者と方法:対策として,死腔の少ない閉鎖回路システムへの変更,ヘパリンロック手技の頻度の削減,カテーテルハブから脱血用の三方活栓までの距離の短縮,スタッフ・患者家族に対する感染対策指導の強化を行った.当科のCVCを挿入されている血液・腫瘍疾患患者を対象に,血液培養の陽性化,CRBSIの発症,発熱性好中球減少症(FN)の発症,感染によるCVCの計画外抜去の4点をエンドポイントとし,対策施行前(2013年4月から8月)と対策施行後(2013年10月から2014年10月)の期間を生存期間解析の手法で比較した.背景因子を共変量としたCox比例ハザードモデルによる多変量解析を行った.
 結果:対策施行後において,血液培養の陽性化,CRBSIの発症,感染によるCVCの計画外抜去につき,背景因子による調整後のハザード比がそれぞれ0.21(p=0.0035),0.21(p=0.0080),0.10(p=0.0032)と有意に低下した.FNの発症については有意差がなかった.
 結論:多方面からの対策を行うことでCRBSIの頻度は削減しうる.


【原著】
■題名
マイコプラズマ感染症の診断におけるLAMP法と抗原迅速診断キットの比較
■著者
富良野協会病院小児科
黒田 真実  角谷 不二雄  大久保 仁史  藤保 洋明

■キーワード
Mycoplasma pneumoniae, LAMP法(loop-mediated isothermal amplification法), 抗原迅速診断キット
■要旨
 マイコプラズマ下気道感染症の急性期診断には血清学的検査,抗原迅速診断キット,遺伝子学的検査などが広く用いられている.我々は,マイコプラズマ下気道感染症の診断におけるloop-mediated isothermal amplification法(LAMP法)と抗原迅速診断キット(リボテスト®マイコプラズマ(旭化成ファーマ社製)およびプライムチェック®マイコプラズマ(アルフレッサファーマ社製))の信頼性を,培養法の結果を基準として前方視的に比較検討した.発熱や咳嗽を主訴に当院小児科を受診した297例を対象とし,全例にLAMP法,抗原迅速診断キット,培養法を実施した.培養法陽性例は30例であった.LAMP法の感度,特異度はそれぞれ86.7%,100%と高かったが,抗原迅速診断キットの感度,特異度はそれぞれ,リボテスト®が40.0%,91.4%,プライムチェック®が7.7%,99.1%であり,特にプライムチェック®の感度は極めて低値であった.また,抗原迅速診断キットは陽性的中率も低く,リボテスト®が34.3%,プライムチェック®が50.0%であった.LAMP法はマイコプラズマ下気道感染症の急性期診断において非常に有用な検査方法であった.


【原著】
■題名
クリプトスポリジウムの小児集団感染の臨床像
■著者
東京都立小児総合医療センター総合診療科1),同 感染症科2)
山内 葉那子1)  幡谷 浩史1)  榊原 裕史1)  寺川 敏郎1)  磯貝 美穂子2)  伊藤 健太2)  堀越 裕歩2)

■キーワード
クリプトスポリジウム, 小児, 集団感染, 下痢症
■要旨
 クリプトスポリジウム症は,原虫が腸管上皮細胞に寄生・増殖することで消化管感染症を発症する人畜共通感染症である.健常人には通常,高い病原性を示さず,時に海外での旅行者下痢症や水系汚染により集団感染を起こすことが知られているが,国内での小児のまとまった報告は少ない.
 2014年6月に東京都内のA小学校の5年生児童が課外活動で感染したと思われるCryptosporidium parvum感染の事例が発生し,これらの患児のうち当院受診者の臨床像を検討した.報告発症者数118例のうち,14例が当院を受診し,うち2例が入院した.潜伏期間は中央値7日で,経過中に全14例で下痢と腹痛を認め,6例で嘔吐があった.発熱は4例,血便は1例のみで少なく,細菌性腸炎とは異なる特徴だった.7例が外来で補液を要し,入院した2例も補液のみで抗菌薬投与はされず,それぞれ5,6日間で軽快退院した.
 クリプトスポリジウムは通常の感染性胃腸炎に対する細菌学的・ウイルス学的検査で同定できない.海外渡航歴がある場合や,国内では集団感染が疑われる場合には,1週間程度の比較的長い潜伏期間と,発熱や血便は伴わない長引く下痢が感染を疑うきっかけとなる.健常な学童では重症化は少ないことが示唆されたが,集団感染の際には公衆衛生学的に病原体診断が必要であり,疑った場合には迅速に特異的な染色と鏡検,またはPCR法で病原体診断を行う必要がある.


【原著】
■題名
小児心筋炎に対する体外式膜型人工肺を用いた治療
■著者
国立成育医療研究センター循環器科1),同 集中治療科2)
浦田 晋1)  林 泰佑1)  西村 奈穂2)  中川 聡2)  小野 博1)

■キーワード
心筋炎, 心不全, 体外式膜型人工肺, 心エコー検査
■要旨
 背景:心筋炎では,心機能回復までの血行動態維持のために体外式膜型人工肺(Extracorporeal membrane oxygenation;ECMO)が用いられるが,本邦での治療成績の報告は少ない.本研究の目的は,小児心筋炎患者に対するECMO治療の現状を明らかにし,小児心筋炎の治療成績を向上させる方策の手掛かりを得ることである.
 方法:当院で加療した18歳未満の心筋炎,連続19例を,ECMO使用群(11例)と非使用群(8例)に分け,臨床データ,各種検査値を後方視的に比較した.
 結果:ECMO使用群では,当院到着から76(44〜96)分でECMOが開始され,使用期間は7(5〜8.5)日であった.ECMO群に死亡が2例,高度神経学的後遺症を認めたものが1例あり,ECMO開始前に心肺停止や播種性血管内凝固を来していた.ECMO使用群は,非使用群に比べ,来院時の左室拡張末期径z値が小さかった(+0.34[−0.9〜+1.1]vs+2.8[+1.3〜+4.7],p<0.01).
 結論:心筋炎の治療成績向上には,心肺停止や多臓器不全に至る前のECMO導入が必要である.心不全症状があるにもかかわらず,左室拡大が軽度であることは,病勢の急激な進行を反映し,ECMOの必要性を示唆する可能性がある.


【症例報告】
■題名
心室性期外収縮として経過観察中に発症した拡張型心筋症
■著者
国立循環器病研究センター小児循環器科
小野 晋  津田 悦子  星野 真介  谷口 由記  坂口 平馬  白石 公

■キーワード
拡張型心筋症, 心室性期外収縮, 学校検診, 遺伝子変異
■要旨
 患者は13歳男児.7歳,9歳時の学校心臓検診で心室性期外収縮(PVC)と診断され,多形性PVCであったため,年に1回の24時間ホルター心電図が施行され,経過観察されていた.13歳時のホルター心電図にて増悪傾向が認められ,拡張型心筋症によるうっ血性心不全を発症した.経過中12誘導心電図では,左側胸部誘導でT波の平低化,陰転化が認められた.極少量からのβブロッカーの導入を含む心不全治療により,左心室拡張末期径の縮小がみられた.遺伝子検査で不整脈原性右室心筋症の原因遺伝子であるデスモソーム遺伝子の重複変異(DSP Pro506Ser,DSG2 Asp521Gly)が確認された.小児のPVCは予後良好のものが多いとされているが,多形性PVCである場合は心筋症を含めた基礎疾患を鑑別する必要がある.


【症例報告】
■題名
急性の歩行障害,排尿障害で発症したアトピー性脊髄炎
■著者
那覇市立病院小児科1),鹿児島県立大島病院2)
上原 朋子1)  今給黎 亮2)  渡久地 鈴香1)  屋良 朝雄1)

■キーワード
アトピー性脊髄炎, 急性横断性脊髄炎, 膀胱直腸障害, 高IgE血症, アレルギー
■要旨
 小児の横断性脊髄炎は稀な疾患であり原因を特定できないことが多い.今回,我々は,急性の歩行障害,排尿障害で発症した急性横断性脊髄炎の11歳男児例を経験した.本症例は,アトピー性皮膚炎を伴い,高IgE血症,ダニ特異的IgE陽性および脊髄MRIの頸髄病変所見から最終的にアトピー性脊髄炎と診断した.ステロイドパルス療法と免疫グロブリン療法で治療し,後遺症なく治癒した.
 本疾患は,アトピー性皮膚炎,気管支喘息,アレルギー性鼻炎,高IgE血症などのアトピー素因を有する患者にみられる脊髄炎である.成人例の報告は散見されるが,小児例での報告は極めて稀である.小児科外来でアレルギー性疾患をみる機会は多く,重要な疾患と考え報告する.


【症例報告】
■題名
T3製剤が有効であった多発性肝血管腫による甲状腺機能低下症の2例
■著者
東京都立小児総合医療センター総合診療科1),同 内分泌・代謝科2)
大谷 岳人1)  後藤 正博2)  野木 歩美1)  柳原 知子1)  幡谷 浩史1)  榊原 裕史1)  寺川 敏郎1)  島田 綾2)  樋口 真司2)  宮井 健太郎2)  高木 優樹2)  長谷川 行洋1)2)

■キーワード
consumptive hypothyroidism, 甲状腺機能低下症, 肝血管腫, T3製剤, プロプラノロール
■要旨
 【はじめに】多発性肝血管腫では,内皮細胞で過剰発現した3型脱ヨード酵素によりT4からrT3,T3からT2への変換が亢進するためconsumptive hypothyroidismを合併し,甲状腺機能低下症の治療に難渋することが多い.本疾患に対して,T3製剤(liothyronine(LT3))が有効であった2例を経験した.
 【症例】症例1は生後1か月男児.皮膚血管腫,腹部膨満,黄疸で受診し,超音波検査と造影CTで多発性肝血管腫を認めた.甲状腺機能低下症を合併しており,T4製剤10 μg/kgとT3製剤2 μg/kgを投与しTSHの正常化が得られた.症例2は生後2か月男児.黄疸で受診し,超音波検査と造影CTで多発性肝血管腫を認めた.fT4正常の甲状腺機能低下症に対して,T3製剤1 μg/kg単剤で治療し,TSHの正常化を認めた.
 【考察】T4からrT3,T3からT2への変換が亢進する病態生理を考慮すると,本疾患に対してLT3の使用が有効と考えられる.今回の2症例では,プロプラノロール療法が行われた過去の報告に比べ,LT3を使用することで早期にTSHを正常化できた可能性がある.
 【結語】多発性肝血管腫に起因するconsumptive hypothyroidismに対し,LT3を使用することで早期にTSHを正常化できる可能性がある.


【論策】
■題名
B型肝炎ワクチン定期接種化に向けた個別対応による広報と接種意義説明の有用性
■著者
佐賀大学医学部小児科1),佐賀大学医学部附属病院肝疾患センター2),町立太良病院3)
垣内 俊彦1)  江口 有一郎2)  谷口 一登3)  荒木 薫1)  松尾 宗明1)

■キーワード
B型肝炎ワクチン, 定期接種, 意識調査, 情報源, 副反応
■要旨
 全国でのB型肝炎ワクチンの定期接種が円滑に開始されるためには,ワクチン対象児の保護者のB型肝炎やB型肝炎ワクチンについての情報獲得方法や接種の動機,また副反応への不安等について医療者側が把握することが不可欠である.
 佐賀県太良町では,定期接種に先駆け,平成27年5月7日から生後2か月〜2歳未満の乳幼児を対象に町からの全額公費助成によるB型肝炎ワクチンの無料接種が開始された.そこでB型肝炎ワクチン無料接種に来院した保護者にアンケート調査を実施した.
 B型肝炎ワクチン全額公費助成での接種については,保護者は,個別説明により情報を得て,町報や医療関係者からの説明を参考に接種に臨み,子どもをB型肝炎から守る目的で接種することを決めていた.B型肝炎ワクチンについて認知している保護者,B型肝炎やB型肝炎ウイルスに関する知識を有する保護者ほど,B型肝炎ワクチンに対する不安を抱く割合が高かった.B型肝炎ワクチンの定期接種化へ向けて,保護者への個別説明の機会を有効に活用して定期接種化を広報し,B型肝炎ワクチンへの関心度を高めることおよびB型肝炎の一般的な知識を十分に説明することは,B型肝炎ワクチン定期接種にとって大変重要なことであるが,説明の際には,更にB型肝炎ワクチン接種への不安を取り除くまでの丁寧な説明を行うことが必要であると考えられた.


【論策】
■題名
小児科でのクリニカルパス導入の取り組みとその効果
■著者
秦野赤十字病院小児科1),東海大学医学部専門診療学系小児科学2)
小池 隆志1)2)  兵頭 裕美1)  坂間 隆1)  鵜川 寿子1)  中江 聡子1)  加藤 政彦2)  望月 博之2)

■キーワード
クリニカルパス, 医師記録, 看護記録, 時間外勤務削減, PDCAサイクル
■要旨
 【目的】小児科は,クリニカルパス導入がし難い分野であるが,過去の症例解析やガイドラインの活用をすることで可能となるはずである.我々は,小児科でパス導入を試み,その効果について検証した.
 【方法】秦野赤十字病院において,2011年10月から2014年8月までで26種類のパスを作成した.紙ベースのパスを用いて,医師主導で導入を図った.看護師の記録業務削減効果,時間外勤務削減効果,小児科入院への効果,教育効果について,パス導入前後で検討を行った.
 【結果】看護師の記録業務は,アウトカムチェックのみとなり,重複記載もなくなり軽減された.時間外勤務は,パス使用率の上昇に伴って減少した.治療の標準化,業務の効率化,業務の削減により事業拡大が可能となり,入院数は,401から650(人/年)へ増加し,病床利用率は55から74.1(%)へ増加した.人件費の削減と入院数の増加により1.5倍の収益の増加につながった.組織教育効果も得られ,学会発表や論文作成も行い,スタッフの能力が向上した.
 【結論】パス使用により,医療の標準化,チーム医療の向上,業務削減効果,組織教育効果が達成できた.パス作成は今まで漫然と行われてきた医療行為への改革のチャンスと捉え,小児科医が「小児科医療にパスは不向き」という固定概念を捨てることで発展していくことが望まれる.

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