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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:16.9.16)
第120巻 第9号/平成28年9月1日
Vol.120, No.9, September 2016
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日本小児循環器学会推薦総説 |
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千田 礼子 1295 |
日本小児神経学会推薦総説 |
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ペルオキシソーム病 診断と治療の最前線―拡大する疾患概念と副腎白質ジストロフィー―
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下澤 伸行 1308 |
日本小児腎臓病学会推薦総説 |
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中西 浩一 1320 |
日本小児感染症学会推薦総説 |
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堀越 裕歩 1330 |
日本小児リウマチ学会推薦総説 |
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岡本 奈美 1338 |
原 著 |
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伊藤 祐史,他 1356 |
症例報告 |
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鈴木 大,他 1364 |
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野崎 章仁,他 1371 |
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地方会抄録(千葉・東京・香川・熊本・山梨・北陸・富山)
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1375 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 |
Injury Alert(傷害速報) |
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1408 |
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1411 |
男女共同参画推進委員会報告 |
リレーコラム キャリアの積み方─私の場合9 |
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1412 |
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代議員・理事・監事名簿 理事・監事当選者立候補事由
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1413 |
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1421 |
日本小児科学会英文誌 Pediatrics International 2016年58巻8号8月号目次
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1427 |
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1428 |
【原著】
■題名
重度肢体不自由児の救急外来受診と入院医療
■著者
名古屋大学大学院医学系研究科小児科学1),豊田市こども発達センター小児神経科2),名古屋大学障害児(者)医療学寄附講座3),トヨタ記念病院小児科4),豊田厚生病院小児科5),名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター6) 伊藤 祐史1)2) 三浦 清邦2)3) 原 紳也4) 岸本 泰明5) 平川 晃弘6) 小川 千香子1)2) 城所 博之1) 奥村 直哉4) 梶田 光春5) 夏目 淳1)3)
■キーワード
重度肢体不自由児, 重症心身障害児, 急性期医療, 救急外来受診, 入院医療
■要旨
重度肢体不自由児(重肢児)の急性期医療の現状を把握するため,豊田市在住の2〜14歳の全小児を対象とし,トヨタ記念病院及び豊田厚生病院での診療状況を2009〜2013年度までの5年間にわたり調査した.対象児を重肢児に該当する群(重肢群)と該当しない群(非該当群)に分類して比較した.
各群の総数に占める救急外来受診者数の割合は,全年度で重肢群が高く(リスク比=1.8〜3.3),受診後の入院率は重肢群(46%)が非該当群(4.2%)と比較して高かった.各群の総数に占める入院者数の割合は全年度で重肢群が高かった(リスク比=12.2〜19.3).経年的な変化として,非該当群では気管支炎・肺炎の減少に伴い入院者数が減少したが,基礎疾患に伴う合併症での入院が多い重肢群では変化しなかった.そのため入院病床に占める重肢群の割合は上昇し,2013年度には7.0%に達した.
新規予防接種の導入により小児の入院患者数が減少する中で,急性期医療における重肢児診療の占める割合が高まっている.重肢児診療の充実に向けた施策として地域基幹病院は,1)地域の医師や訪問看護ステーションと連携して重肢児に対する小児在宅医療を充実させること,2)緊急入院を繰り返す児を心身障害専門医療機関に紹介して治療方針の再検討を行うこと,3)医療者が重肢児の医療に関する実践的な知識と技術を学べる研修制度を構築すること,が必要である.
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【症例報告】
■題名
脳膿瘍を契機に発見された静脈管開存症
■著者
宮城県立こども病院総合診療科 鈴木 大 角田 文彦 林 千代 渡邊 庸平 山岡 明子 梅林 宏明 稲垣 徹史 三浦 克志 虻川 大樹
■キーワード
先天性門脈体循環短絡症, 静脈管開存症, 脳膿瘍, 肝肺症候群, 限局性結節性過形成
■要旨
静脈管開存症は,生後自然閉鎖するはずの静脈管が開存し続けた結果生じる先天性門脈体循環短絡症(CPSS)である.我々は学童期に脳膿瘍を契機に発見された静脈管開存症を経験した.症例は9歳男児.軽度発達遅滞あり.頭痛,意識障害で発症し,頭部CT・MRIで脳膿瘍を認め,膿瘍ドレナージ術を施行した.一方,軽度の肝障害と高アンモニア血症,高胆汁酸血症,低酸素血症,肺内シャントを呈し,脳MRIで大脳基底核に高信号領域を認めた.肝の画像検査で肝内多発性腫瘤とともに門脈臍部から下大静脈へ向かう異常血管を認め,静脈管開存症と診断した.多発性肝腫瘍は病理で限局性結節性過形成と診断された.後日開腹下に短絡血管結紮術を施行し,術後門脈圧亢進症をきたすことなく,高アンモニア血症,高胆汁酸血症,低酸素血症が改善し,肝内腫瘤も退縮した.CPSSに脳膿瘍を合併した機序として,門脈血に侵入した細菌が肝網内系でトラップされずに体循環に入り,肺内シャントを経由して脳膿瘍を形成した可能性がある.肝肺症候群を併発したCPSSは脳膿瘍の高リスク群と考えられ,注意が必要である.
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【症例報告】
■題名
食事摂取量低下とピボキシル基含有抗菌薬2日間投与による二次性低カルニチン血症
■著者
滋賀県立小児保健医療センター小児科1),福井大学医学部看護学科健康科学2) 野崎 章仁1) 楠 隆1) 重松 陽介2) 佐々木 彩恵子1) 熊田 知浩1) 柴田 実1) 林 安里1) 森 未央子1) 日衛嶋 郁子1) 井上 賢治1) 藤井 達哉1)
■キーワード
食事量低下, ピボキシル基含有抗菌薬, 二次性, 低カルニチン血症
■要旨
ピボキシル基含有抗菌薬の長期投与による二次性低カルニチン血症に関しては注意喚起がされているが,短期投与による二次性低カルニチン血症に関しての評価は十分ではない.我々は,食事量低下とピボキシル基含有抗菌薬2日間投与による複合的要因から二次性低カルニチン血症を来した1例を経験したため報告する.症例は10か月男児.RSウイルス感染による重症肺炎で入院.入院前に,食事量低下とピボキシル基含有抗菌薬2日間投与を受け,筋緊張低下が生じた.入院時の遊離カルニチン値は11.0 μmol/l(基準値36.0〜74.0)と低カルニチン血症を認めた.カルニチン製剤の補充(100 mg/日)により低カルニチン血症は改善した.カルニチン補充中止後の検査にて一次性は否定され,二次性低カルニチン血症と診断した.小児では食事量低下が低カルニチン血症を起しうる要因の一つである.その状況では,ピボキシル基含有抗菌薬の短期投与でも二次性低カルニチン血症が生じることが示された.食事量低下などの低カルニチン血症を起しうる要因がある場合には,ピボキシル基含有抗菌薬の短期投与であろうともカルニチン補充を行う必要がある.
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