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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:15.5.21)
第119巻 第5号/平成27年5月1日
Vol.119, No.5, May 2015
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原 著 |
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中野 有也,他 805 |
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福留 啓祐,他 813 |
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松本 真輔,他 820 |
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岡野 翼,他 825 |
症例報告 |
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米原 恒介,他 831 |
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三上 真充,他 837 |
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池宮城 雅子,他 842 |
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松永 英幸,他 848 |
短 報 |
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川崎 悠,他 855 |
論 策 |
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池庄司 遥,他 858 |
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阿部 祥英,他 863 |
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地方会抄録(秋田・宮崎・徳島・山形・東海・福岡・奈良・熊本・鹿児島・青森・甲信・宮城・福井)
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871 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 |
Injury Alert(傷害速報) |
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No. 53 ヘリウムガス入りスプレー缶の吸引による意識障害
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934 |
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937 |
男女共同参画推進委員会報告 |
子育てリレーコラム1 |
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939 |
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940 |
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941 |
日本小児科学会英文雑誌 Pediatrics International 2015年57巻2号4月号目次
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948 |
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950 |
【原著】
■題名
早産児に対するNICU退院後の鉄剤投与の必要性
■著者
昭和大学医学部小児科学講座 中野 有也 鈴木 学 清水 武 滝 元宏 宮沢 篤生 櫻井 基一郎 三浦 文宏 水野 克己 板橋家頭夫
■キーワード
鉄欠乏性貧血, 早産児, 低出生体重児, 鉄剤投与, 完全母乳栄養
■要旨
早産児は乳児期に鉄欠乏性貧血(IDA:Iron Deficiency Anemia)をきたしやすいが,NICUを退院する早産児に対して,予防的に鉄剤を投与すべきかどうかには議論がある.我々は別の前向き研究に参加している早産児52例(在胎期間31.8±2.9週,出生体重1,568±523 gで出生)を対象として,修正40週および修正6か月に測定した血液検査データを後方視的に検討することで,早産児におけるNICU退院後のIDA発症リスクを評価した.修正40週時点でIDA例は1例もいなかったが,NICU退院後に予防的鉄剤投与を行わなかった21例のうち12例(57.1%)が修正6か月までの間にIDAを発症していた.一方,予防的鉄剤投与を行った31例のなかにその後IDAを発症した症例はなく,退院後の予防的鉄剤投与はその後のIDA発症リスクを有意に軽減した(p<0.001,Fisherの正確確率検定).また多重ロジスティック回帰分析では,完全母乳栄養期間が1か月延びる毎に,修正6か月までに鉄欠乏状態となるリスクが有意に2.0倍ずつ上昇することが示唆された(オッズ比1.999,p=0.037).予防的鉄剤投与を行わない場合,その後のIDA発症リスクを十分念頭におく必要があり,特に完全母乳栄養の児では注意が必要であると考えられた.
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【原著】
■題名
川崎病191例によるNT-proBNPのバイオマーカーとしての有用性
■著者
高松赤十字病院小児科 福留 啓祐 清水 真樹 古本 哲朗 市原 裕子 市原 朋子 藤井 笑子 坂口 善市 幸山 洋子 大原 克明
■キーワード
川崎病, N-terminal pro brain natriuretic peptide(NT-proBNP), 診断, 不応例予測, バイオマーカー
■要旨
川崎病191症例について分析し,N-terminal pro brain natriuretic peptide(NT-proBNP)の診断,治療反応性,心障害発症の予測因子としての有用性を検討した.年齢分布では1歳未満が過半数(52.8%)を占め,6か月未満の乳児では定型例が有意に少なかった.心障害は10例(5.2%)に認めた.NT-proBNPは,川崎病では他の発熱性疾患と比較して有意な上昇を認めた(1,469.9±214.5 pg/ml vs 310.1±67.8 pg/ml,p<0.001).初回IVIGに対する不応例では反応例と比較して有意な上昇を認めた(3,140.7±1,259.7 pg/ml vs 1,185.0±128.5 pg/ml,p=0.003).心障害発症例においても,心障害なしと比較して有意に上昇していた(6,620.1±2,372.5 pg/ml vs 1,034.1±88.3 pg/ml,p<0.0001).診断においてカットオフ値を281.5 pg/mlとすると,感度83.2%,特異度は80.7%,初回IVIGに対する不応例予測はカットオフ値1,354 pg/mlで,感度71.4%,特異度59.2%であり,心障害発症予測では,カットオフ値1,496 pg/mlで感度90.0%,特異度77.2%であった.NT-proBNPは川崎病の診断や心障害発症予測においてきわめて有用である.
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【原著】
■題名
ネフローゼ症候群に伴う急性腎障害の原因
■著者
松戸市立病院小児医療センター小児科 松本 真輔 平本 龍吾 大森 教雄 江口 広宣
■キーワード
ネフローゼ症候群, 急性腎障害, 急性尿細管壊死, 循環血漿量, 間質浮腫
■要旨
小児のネフローゼ症候群(NS)に伴う急性腎障害(AKI)(NSAKI)の原因はいまだ一定の見解はない.ステロイド感受性NS 85例を対象とし,血清Cr値が通常時と比較し1.5倍以上の群をAKI群,その他の群をnon-AKI群とした.考えられるリスク因子を2群間で比較した.対象は,男性49例,女性36例,年齢の中央値は8.8歳.85例中,AKI群は18例,non-AKI群は67例.初発,低ナトリウム血症,BUN/血清Cr比の増加,体重増加,低アルブミン血症はリスク因子であった.一方,男性,年齢,FENa上昇,尿中β2-MG/Cr比上昇,Hb上昇,収縮期血圧低下,高度蛋白尿,シクロスポリン(CsA)使用,CsA濃度上昇はリスク因子ではなかった.これらリスク因子からNSAKIの原因を考察した.近位尿細管機能障害は少なく,急性尿細管壊死は少ない.また,Hb増加率,収縮期血圧増加率より,循環血漿量減少に伴う腎虚血も少ない.一方,他の報告と同様にアルブミン製剤でNSAKIから離脱できた症例も多く,腎間質浮腫は主要な原因になりうる.さらに,蛋白性円柱の可能性もある.腎間質浮腫,蛋白性円柱についてはアルブミン製剤等の投与でNSAKIから離脱できる可能性はある.しかし,NSAKI発症時の状態はむしろ溢水傾向であり,投与は肺水腫などのリスクを伴うため,循環血漿量を評価し慎重に投与する必要がある.
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【原著】
■題名
マイコプラズマ肺炎の難治化予測因子
■著者
埼玉医科大学病院小児科1),埼玉医科大学地域医学・医療センター2) 岡野 翼1) 阿部 裕一1) 荒尾 正人1) 山崎 太郎1) 荒木 隆一郎2) 山内 秀雄1) 徳山 研一1) 大竹 明1) 雨宮 伸1)
■キーワード
マイコプラズマ肺炎, LDH, フェリチン, ステロイド療法, サイトカイン
■要旨
【目的】マイコプラズマ肺炎の難治化予測因子の検討.
【対象と方法】マイコプラズマ肺炎入院症例73例を対象とし,トスフロキサシン(TFLX)あるいはミノサイクリン(MINO)投与後の解熱の有無で難治例と非難治例との2群に分類し,検査所見について後方視的に比較検討を行った.
【結果】難治例で有意に高値であったのはLDH,AST,フェリチン,procalcitonin(PCT)であり,Receiver Operating Characteristic(ROC)解析にて最も難治性と関連を示したのはLDHであった.マイコプラズマ肺炎の難治化を確定する目的で特異度を90%に設定した場合のカットオフ値はそれぞれLDH 477 IU/L,AST 54 IU/L,フェリチン207 ng/mL,PCT 0.39 ng/mLであった.
【結語】LDH,AST,フェリチン,PCTのカットオフ値以上の上昇が,TFLXあるいはMINO投与で改善しないマイコプラズマ肺炎の難治化予測の指標として有用である可能性が示された.
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【症例報告】
■題名
心室中隔欠損症に感染性心内膜炎を合併し心肺停止で救急搬送された1例
■著者
長野赤十字病院小児科1),徳島赤十字病院小児科2) 米原 恒介1) 中津 忠則2) 渡邊 力2) 高橋 昭良2) 谷口 多嘉子2) 七條 光市2) 近藤 梨恵子2) 富本 亜由美2) 久保田 真理2)
■キーワード
心室中隔欠損症, 感染性心内膜炎, Valsalva洞動脈瘤破裂, 心肺停止
■要旨
症例は12歳男児で,心室中隔欠損症を指摘されていたが小欠損孔のため小学校入学前にはフォローを中止されていた.3週間前から発熱が遷延しており,抗生剤内服加療するも改善が認められなかった.来院当日,トイレで倒れているところを母親が発見し,当院へ救急搬送された.来院時は心肺停止状態で,直ちに蘇生処置を行うも反応しなかった.病理解剖を行ったところ,死因は漏斗部心室中隔欠損孔を基礎として,感染性心内膜炎,Valsalva洞動脈瘤破裂を合併したものと考えた.漏斗部の心室中隔欠損症は,大動脈弁逆流症やValsalva洞動脈瘤を合併する可能性があるため欠損孔が小さい場合でも特に注意深いフォローが必要である.また心室中隔欠損症を有する児に遷延する発熱を認めた場合には感染性心内膜炎の可能性を考える必要があることが示唆される1例であった.
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【症例報告】
■題名
リンパ腫の治療中に気管腕頭動脈瘻を生じた重症心身障害児例
■著者
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院小児科 三上 真充 塩田 光隆 田中 邦昭 森嶋 達也 羽田 敦子 渡辺 健 秦 大資
■キーワード
重症心身障害児, 気管腕頭動脈瘻, 悪性リンパ腫, 化学療法, 予防的手術
■要旨
気管腕頭動脈瘻とは気管切開後合併症の一つであり,致死率は非常に高い.稀な合併症とされるが,重症心身障害児の場合は頻度が高くなる.重症心身障害児の寿命は全身管理の進歩により以前に比べて延びており,それに伴い悪性腫瘍を発症し,化学療法を受ける機会も増加している.症例は17歳男子.生後5日目に原因不明の心肺停止から低酸素性脳症を発症した.重度発達遅滞・痙性四肢麻痺・てんかん・胸部側彎症も合併し,気管切開術(生後6か月)・喉頭分離術(15歳)を受け人工呼吸器管理となったが,呼吸器感染で入退院を繰り返した.17歳時に右頸部リンパ節腫脹を認め悪性リンパ腫と診断した.化学療法による治療を家族が希望し,髄注困難なほどの重度側彎症,心エコーで判明した左心室拡張能低下,多剤耐性緑膿菌とMRSAを保菌する状況などに配慮した化学療法を行った.治療開始後は大きな副作用なくリンパ節腫脹も速やかに消失したが,治療67日目に気管腕頭動脈瘻からの出血性ショックを生じ1時間で死亡した.気管切開を受けている重症心身障害児の気管腕頭動脈瘻発症率は約6%と,同じく気管切開を受けている小児患者全体より高く,発症すると救命は非常に難しいため手術を含めた予防策が非常に重要となる.化学療法は気管腕頭動脈瘻の発症リスクをさらに高める可能性をふまえ,治療方針を決定する必要がある.
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【症例報告】
■題名
3歳児検尿を契機に診断された抗好中球細胞質抗体関連腎炎の1例
■著者
国立病院機構埼玉病院小児科1),東京女子医科大学病院泌尿器科研究室2),東京都立小児総合医療センター腎臓内科3),同 総合診療科4) 池宮城 雅子1)2) 篠塚 俊介1)3) 幡谷 浩史3)4) 上牧 勇1)
■キーワード
抗好中球細胞質抗体, 3歳児検尿, 学校検尿, ANCA関連腎炎
■要旨
3歳男児.3歳児検尿1か月前の尿検査では,異常を指摘されなかったが,3歳児検尿で血尿,蛋白尿を指摘された.当院初診時,血清クレアチニン0.19 mg/dl,血尿2+(RBC 10〜19/HPF),尿蛋白/クレアチニン比0.47 g/gCrであった.2か月後の検査で,血清クレアチニン0.28 mg/dl,尿蛋白/クレアチニン比0.67 g/gCrと悪化傾向であったため,抗好中球細胞質抗体(ANCA)を測定した.MPO-ANCA 1,950.0 IU/mlと著明高値で,腎生検の結果は細胞性半月体形成が1/52個,壊死性病変と硬化性病変を認め,ANCA関連腎炎と診断した.
2001年以降で学校検尿を契機に診断されたANCA関連腎炎の症例報告では,初診時血清クレアチニン値が1.0 mg/dlを超えている症例において,5例中4例で80%以上の半月体形成を認め予後が不良であった.一方,初診時血清クレアチニン値が1.0 mg/dl未満の症例については,治療に対する反応が良好であった.
腎限局型ANCA関連腎炎の場合,現段階ではANCA測定以外には早期診断に有用な検査がない.早期診断,早期治療により腎機能悪化を防ぐためには,3歳児検尿においても,血尿および蛋白尿を持続的に認める例や短期間で腎機能悪化を認める症例には,ANCAを測定することを考慮すべきと思われる.
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【症例報告】
■題名
ロタウイルス感染初期に発症したサイトカインストーム型の急性脳症
■著者
一宮市立市民病院小児科1),大阪府立母子保健総合医療センター集中治療科2),静岡県立こども病院救急総合診療科3) 松永 英幸1)2) 熊崎 香織1)3) 前田 重一1) 若野 泰宏1) 岩田 直之1) 山本 和之1) 成瀬 宏1) 三宅 能成1)
■キーワード
ロタウイルス, 急性脳症, サイトカインストーム, 出血性ショック脳症症候群, 予防接種
■要旨
近年ロタウイルス(RV)感染による急性脳症の症例報告が集積されつつあるが,臨床像は多様で,胃腸炎経過中に発症することが多い.今回我々は,下痢出現前に痙攣重積で発症し,急激な経過をたどり救命できなかったRV急性脳症の1例を経験した.
症例は1歳3か月女児.RV胃腸炎の地域流行期,発熱数時間後に突然痙攣と意識障害をきたして当院へ搬送され,遅れて腸炎症状が出現した.直ちに集中治療を行うも,急速に多臓器不全と脳浮腫が進行し,来院16時間後に平坦脳波となった.来院直後の血清RV抗原が陽性で,第2病日の便からRV RNAが検出されたことから,RVの感染初期に脳症を発症したと考えられた.さらに急性期検体の解析にて,治療初期段階で既に著明な高サイトカイン血症の状態であり,髄液中神経障害バイオマーカーも高値であったことが判明した.よって,迅速な治療介入によっても重度後遺症や死亡は不可避であったと考えられた.
サイトカインストーム型の急性脳症は一般に予後不良であるが,RV感染のごく初期にも発症しうることが示唆された.確立された治療法がない現状では,RVへの接触回避が唯一の対応策と考えられ,集団レベルでの流行抑制が重要と思われる.本邦におけるRVワクチン接種率の更なる向上と,そのための定期接種化が望まれる.
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【短報】
■題名
インフリキシマブ被投与母体児における薬剤血中濃度の推移とBCG接種
■著者
西神戸医療センター小児科 川崎 悠 松原 康策 内田 佳子 岩田 あや 由良 和夫 仁紙 宏之 深谷 隆
■キーワード
BCG, 予防接種, インフリキシマブ血中濃度, tumor necrosis factor α, 全身播種性結核感染症
■要旨
インフリキシマブ(IFX)治療中のクローン病合併妊婦からの出生児で,血中IFX濃度を経時的に測定し安全なBCG接種を立案した症例を報告する.出生32日前に母体は最終IFX投与を受け,児は在胎38週に合併症なく出生した.日齢0,30,87,178にIFX濃度を測定し,各々39.4,10.41,2.12,0.21 μg/mlであった.血中濃度の十分な低下を確認後,生後7か月にBCGを接種し有害事象を認めなかった.妊娠後期にIFX治療を受けた母体からの出生児では,乳児期早期のBCG接種は全身播種性感染症の危険があり死亡例の報告もある.今後,生物学的製剤被投与母体児の予防接種についての検討が必要である.
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【論策】
■題名
外傷患者家族から聴取された受傷機転と重症度と転帰の関連
■著者
国立成育医療研究センター集中治療科 池庄司 遥 問田 千晶 六車 崇
■キーワード
重症小児外傷, 虐待, 小児集中治療
■要旨
【緒言】小児重症外傷において,家族のみが目撃する症例の中に申告された受傷機転と重傷度・転帰が乖離する症例が存在する.
【目的】小児重症外傷における患者家族の申告する受傷機転と重症度・転帰の関連を検証すること.
【対象】'09〜'11年にPICUへ入室した15歳以下の外傷166例とした.
【方法】診療録の後方視的検討.家族以外の第三者の目撃の有無と受傷機転の強度により4群に分類し検討した.
【結果】家族以外の第三者目撃がなく受傷機転が非高エネルギーな症例では,受傷機転のエネルギー強度と重症度・転帰は乖離しており,その重症度と転帰は第三者目撃があり受傷機転が高エネルギーな症例に匹敵していた.また,受傷機転が非高エネルギーな症例のうち,第三者目撃のない症例にのみ死亡を認めた.
第三者目撃がなく受傷機転が非高エネルギーな症例でのみ,被虐待例を認めた.第三者目撃がなく受傷機転が非高エネルギーな症例では,被虐待例が24%を占めた.
【結語】第三者の目撃がなく家族のみが受傷機転を申告する症例では,受傷機転と重症度・転帰が解離しており,家族のみが申告する受傷機転の信憑性は薄い.小児外傷診療では,家族が申告する受傷機転のみに依拠して評価することは不適切であり,申告された受傷機転と重症度・転機が乖離する場合は,虐待など他害の可能性も念頭に置き検索を行うべきである.
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【論策】
■題名
小児医療におけるインシデントレポートの分析
■著者
昭和大学医学部小児科学講座1),昭和大学江東豊洲病院医療安全管理室2),昭和大学病院看護部3),昭和大学大学院保健医療学研究科4) 阿部 祥英1) 小市 佳代子2) 田口 美保3) 三浦 文宏1) 相澤 まどか1) 中村 俊紀1) 上條 由美4) 板橋 家頭夫1)
■キーワード
インシデント, 小児医療, 医療の質, 医療事故
■要旨
小児医療のみに焦点を当て,過去6年間のインシデントレポート2,389件を分析した.患者の性別は男性56.7%,女性41.9%であった.年齢分布は0歳が44.3%で最も多く,5歳までで約80%を占めた.発生部署に関しては,病棟が75.9%と最も多く,外来は3.3%であった.報告者の職種は看護師が87.5%で最も多く,次いで医師が6.4%であった.当事者の経験年数は0〜4年で全体の過半数(51.7%)を占めた.内容に関しては,ドレーンチューブ類の使用・管理が23.6%で最も多く,与薬と合わせた事例で約60%を占めた.インシデントレポート分析は当院の過去6年間の小児医療における問題点を抽出するうえで非常に有用であった.当院のみならず,各施設で小児医療におけるインシデントレポートの分析が盛んになり,その結果が蓄積されれば,インシデントレポート自体が小児医療全体の事故防止に重要な役割を持つことが明らかになる可能性がある.
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