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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:10.4.13)
第114巻 第4号/平成22年4月1日
Vol.114, No.4, April 2010
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総 説 |
1. |
18トリソミーの自然歴およびマネジメントの確立をめざして
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古庄 知己 637 |
2. |
新生児の中心静脈ライン管理についての文献的検討
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大木 康史,他 646 |
原 著 |
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吉岡 明彦 657 |
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石田 也寸志,他 665 |
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石田 也寸志,他 676 |
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野村 孝泰,他 687 |
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井澤 雅子,他 694 |
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原 真人,他 699 |
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井手 健太郎,他 706 |
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宇田川 美野子,他 711 |
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吉田 之範,他 716 |
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五十嵐 岳宏,他 721 |
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小高 淳,他 726 |
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平久保 由香,他 729 |
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734 |
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 |
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Injury Alert(傷害注意速報)No.16 温泉卵の製造器によるやけど
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754 |
日本小児科学会中央資格認定委員会 |
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専門医にゅーすNo.5 中央資格認定委員会からのお知らせ
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756 |
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758 |
─専門医資格取得のための─小児科医の到達目標 改訂 第5版
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765 |
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805 |
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808 |
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812 |
日本小児科学会英文雑誌 Pediatrics International 2010年52巻4月号目次
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825 |
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827 |
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828 |
【原著】
■題名
BCG既接種の小児に対するQuantiFERON®TB-2G結果とツベルクリン反応結果の乖離に関する検討
■著者
広島県東広島地域保健所 吉岡 明彦
■キーワード
小児結核, 接触者健診, ツベルクリン反応検査, BCG既接種, QuantiFERON®TB-2G
■要旨
〔目的〕BCG既接種児において,結核感染をツベルクリン反応検査(ツ反)結果のみと,QuantiFERON®TB-2G(QFT)検査を追加して判断した場合との相違について検討した.〔対象と方法〕初発患者が塗抹陽性肺結核の児童で有症状期間に接触の可能性がある児童75名を対象に,旧「結核定期外健康診断ガイドライン」に沿って定期外検診(接触者健診)を行った.また,児童75名中発赤長径(発赤径)10 mm以上の68名を対象に,初発患者と同学年を濃厚接触者群,それ以外を非濃厚接触者群としQFT検査を実施した.さらに,QFT検査と発赤径との結果を比較検討した.QFT検査前に,保護者からは書面にて承諾を得た.〔結果〕児童75名全員がBCG既接種者で,発赤径30 mm以上の22名は最近の感染が強く疑われた.QFT検査では陽性1名,疑陽性2名,陰性65名で,陽性・疑陽性は非濃厚接触者群であった.濃厚接触者群にはQFT陽性・疑陽性がいないため,化学予防(潜在性結核感染症治療)は実施せず慎重に経過観察をおこなった.2年後の接触者健診で68名に異常は認められず,さらに,2年間の追跡調査を行ったが,75名全員に発病は認められなかった.〔考察〕非濃厚接触者群の3名のみがQFT陽性・疑陽性であったが,初発患者との濃厚な接触がなく発病は否定された.しかし,ツ反結果のみで評価すると22名の集団感染となり,ツ反とQFTの結果に大きな乖離を認めた.今後,QFT検査も加えて総合的に判断すれば,小児においても不必要な潜在性結核感染症治療対象者を減らすことができる可能性を示唆している.
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【原著】
■題名
小児がん経験者の晩期合併症およびQOLの実態に関する横断的調査研究―第1報
■著者
聖路加国際病院小児科1),愛媛大学大学院医学系研究科小児医学2),東京大学大学院医学系研究科家族看護学分野3),久留米大学医学部小児科4),国立病院機構香川小児病院血液腫瘍科5),国立成育医療センター研究所成育保健政策科学研究室6),同 成育社会医学研究部成育疫学研究室7),国立病院機構九州がんセンター小児科8),県立新潟がんセンター小児科9),国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター・小児科10) 石田 也寸志1)2) 本田 美里2) 上別府 圭子3) 大園 秀一4) 岩井 艶子5) 掛江 直子6) 坂本 なほ子7) 岡村 純8) 浅見 恵子9) 稲田 浩子4) 前田 尚子10) 堀部 敬三10)
■キーワード
小児がん, 小児がん経験者, 晩期合併症, QOL, 横断研究
■要旨
本邦の小児がん経験者自身の視点から,晩期合併症の実態とQuality of life(QOL)を評価し,小児がん経験者の長期フォローアップ医療体制における問題点を明確にすることを目的として,横断的アンケート調査を施行した.
16歳以上の病名告知を受けている経験者および同胞が小児がんであることを説明されているきょうだいを対象に,親権者と本人の同意を得て自記式の無記名郵送アンケート調査法を用いた.
経験者189名(回収率約72%)ときょうだい74名(約54%)から返送が得られた.経験者のアンケート返送群と非返送群では回収率に関して性差以外に差を認めず,返送群における選択バイアスは許容しうると考えた.診断されたのは1979年〜2003年で,診断時年齢は経験者では8歳前後に対し,きょうだいでは10〜11歳とやや年長であった.調査時年齢は両群でほぼ同等であった.原疾患では,造血器腫瘍が129例を占め,固形腫瘍では,神経芽腫11例,脳腫瘍と骨腫瘍が10例ずつであった.治療としては,化学療法98%,放射線60%,手術38%,造血幹細胞移植25%であった.
本研究では,晩期合併症,身体的特徴,生活状況,通院歴,現在の健康状態,手術・内服歴,生活習慣,妊娠・分娩歴,身体的問題,一般的QOL評価,心理的側面について両群を比較検討する.
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【原著】
■題名
小児がん経験者の晩期合併症およびQOLの実態に関する横断的調査研究―第2報
■著者
聖路加国際病院小児科1),久留米大学医学部小児科2),愛媛大学大学院医学系研究科小児医学3),県立新潟がんセンター小児科4),国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター・小児科5),国立病院機構九州がんセンター小児科6),東京大学大学院医学系研究科家族看護学分野7),国立病院機構香川小児病院血液腫瘍科8),国立成育医療センター研究所成育社会医学研究部成育疫学研究室9),同 成育保健政策科学研究室10) 石田 也寸志1)3) 大園 秀一2) 本田 美里3) 浅見 恵子4) 前田 尚子5) 岡村 純6) 稲田 浩子2) 上別府 圭子7) 岩井 艶子8) 坂本 なほ子9) 掛江 直子10) 堀部 敬三5)
■キーワード
小児がん, 低身長, やせ, 晩期合併症, リスク因子
■要旨
第2報では小児がん経験者の晩期合併症の内で,身体的特徴と晩期合併症のリスク因子について解析した.
小児がん経験者の身長は,きょうだいに比べて男女とも有意に平均値が低く,−2SD未満の低身長が女性の12.1%,男性の11.5%に認められ,思春期前のがん発症,放射線照射が低身長のリスク因子と考えられた.BMI>25の肥満症例は,男性において15.4%,女性において9.6%であり,各性別のきょうだいより多かった.BMI<18.5のやせは,女性で26.0%と女性きょうだいの13.0%に比べて多く認められた.やせのリスク因子としては,全身・胸腹部照射など放射線治療があげられた.
医師記載情報で,晩期合併症は女性50%,男性64%で認められ,内分泌障害21.1%,低身長13.5%,骨筋肉系9.7%,肝機能障害8.6%,皮膚・脱毛6.5%などが多く認められた.晩期合併症に関して多変量解析で有意になったリスク因子は,原疾患分類(固形腫瘍対造血器腫瘍,p=0.001),放射線治療(p=0.005),治療終了から調査までの年数(p=0.005),造血幹細胞移植(p=0.007),再発(p=0.008)の5項目で,それぞれのOdds比は3.85,2.90,0.34,3.53,4.46であった.本邦の小児がん経験者においても低身長ややせの問題がまれでなく,晩期合併症は約半数に及ぶことが確認された.
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【原著】
■題名
生体肺移植にて救命した閉塞性細気管支炎を併発したStevens-Johnson症候群の1例
■著者
豊橋市民病院小児科 野村 孝泰 相場 佳織 谷田 寿志 金原 有里 竹内 幸 金子 幸栄 伊藤 剛 小山 典久
■キーワード
Stevens-Johnson症候群, 閉塞性細気管支炎, 慢性呼吸不全, 生体肺移植
■要旨
症例は5歳女児.急性気管支炎に対して薬剤を使用後,発熱,紅斑・水疱・びらん,粘膜疹が出現しStevens-Johnson症候群と診断した.縦隔気腫,皮下気腫,無気肺,気胸を合併し,急激な呼吸状態の悪化を認めた.人工呼吸管理に加えメチルプレドニゾロンパルス療法,免疫グロブリン大量療法を行い急性期を脱したが,入院23日目頃より再び呼吸障害が増悪した.呼吸困難,咳そうにより経口摂取困難で,入院時からの胆汁うっ滞型肝障害も遷延した.入院後の体重減少は−36%に達し,入院134日目に気管切開と胃ろう造設を行い強制換気と経管栄養を開始した.これを契機に栄養状態,肝障害が改善し,発症11か月後に母親をドナーとした生体肺移植を施行した.発症から1年7か月経過した現在,人工呼吸器から離脱し日常生活が可能なまでに回復した.
Stevens-Johnson症候群に伴う,主に閉塞性細気管支炎による遅発性の呼吸障害はまれであるが生命予後に関わる重要な合併症である.本症例では気管切開による呼吸管理のみならず,胃ろう造設を行い栄養状態を改善させ得たことが肺移植による救命につながった.
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【原著】
■題名
デスモプレシン投与前後の哺乳量制限により血清Na値をコントロールできた中枢性尿崩症の乳児例
■著者
東京都立清瀬小児病院内分泌代謝科1),同 新生児科2) 井澤 雅子1) 永沼 卓2) 有安 大典1) 宮本 純子1) 横山 哲夫2) 長谷川 行洋1)
■キーワード
中枢性尿崩症, デスモプレシン(DDAVP), 哺乳量制限
■要旨
新生児・乳児早期の中枢性尿崩症(CDI)症例では,渇感に応じた自発的な飲水コントロールができないこと,栄養をすべて水分で摂取する必要があることから,血清Na値を正常範囲に保つことがしばしば困難である.今回,デスモプレシン(1-deamino-8-D-arginine vasopressin:DDAVP)投与前後の哺乳量を制限することにより,血清Na値を正常範囲に保つことができた乳児CDI症例を報告する.症例は日齢0に下垂体機能低下症と診断された男児で,日齢6にCDIの合併が確認された.重度の両側口唇口蓋裂によりDDAVP点鼻投与が困難であったため,舌下投与を開始した.均等8回哺乳を行ったところ,DDAVPの1日1回投与前後で血清Na値が大きく変動していたが,投与前1時間と尿量が著明に減少する投与後6時間までの哺乳量を制限することにより血清Na値の変動を抑えることができた.
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【原著】
■題名
シプロフロキサシンが有効であったサルモネラ髄膜炎の新生児例
■著者
北里研究所メディカルセンター病院小児科1),海老名総合病院小児科2),北里大学北里生命科学研究所3),北里大学医学部小児科4) 原 真人1) 藤武 義人1) 島貫 郁1) 野々山 勝人2) 砂川 慶介3) 石井 正浩4)
■キーワード
Samonella Enteritidis, 細菌性髄膜炎, 新生児, シプロフロキサシン
■要旨
先進国におけるSalmonella髄膜炎の報告は比較的少ないが,死亡率,再発率,合併症や後遺症の頻度が高く,新生児の髄膜炎の起因菌としてSalmonella属菌は念頭に置く必要がある.今回我々は,Salmonella Enteritidis(S. Enteritidis)髄膜炎の新生児例を経験した.症例は日齢20の女児で,発熱,哺乳力低下と嘔吐が出現し,精査加療目的に入院とした.髄液検査で,細胞数増多,髄液糖低下,塗抹検査でグラム陰性桿菌が認められ,細菌性髄膜炎と診断し,アンピシリン(ABPC)及びセフォタキシム(CTX)を開始した.入院時の髄液・血液・便培養よりS. Enteritidisが分離され,感受性検査結果に基づきABPCをメロペネム(MEPM)へ変更したが,臨床的効果は不十分であった.MEPMをシプロフロキサシン(CPFX)へ変更したところ解熱し,血清CRP値も正常化し,軽快退院とした.3日後に再び発熱し,入院となった.S. Enteritidis髄膜炎の再発と診断し,CPFXとCTXを投与した.抗菌薬中止1週間後の髄液・血液・便および十二指腸液培養がすべて陰性であり,ガリウムシンチグラムで異常集積像がないことを確認した上で退院とした.小児へのCPFXの使用は副作用に対する危惧から一部の症例に限られている.しかし,本症例では経過観察期間中に副作用は認められず有効と考えられた.
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【原著】
■題名
ガドリニウム造影剤を用いてバルーン血管形成術を施行した左心低形成症候群の1例
■著者
兵庫県立こども病院循環器科 井手 健太郎 田中 敏克 城戸 佐知子 齋木 宏文 藤田 秀樹 寺野 和宏
■キーワード
ガドリニウム造影剤, ヨードアレルギー, バルーン血管形成術, 血管内超音波
■要旨
ヨード造影剤アレルギーや造影剤腎症のためにガドリニウム(Gd)造影剤を用いて血管造影やカテーテル治療を行った成人例の報告は散見される.しかし,小児例での同様の報告は極めて少ない.今回,我々はヨード造影剤によるアナフィラキシーショックを呈した開窓フォンタン術後左心低形成症候群の上大静脈狭窄に対し,Gd造影剤を用いて血管造影及びバルーン血管形成術を施行した.Gd造影剤のコントラストはヨード造影剤と比べ低いが,撮影条件を工夫することにより良好な画像が得られた.原液のGd造影剤を用いれば3 mm程度の細径のバルーンカテーテルであってもバルーンの形態評価は充分可能であった.Gd造影剤は使用量が限られているが,血管内超音波を併用することによって,小児においても血管造影及び安全なカテーテル治療を可能にすると考えられた.
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【原著】
■題名
重症の精神症状を合併した神経性食欲不振症の2例
■著者
東京警察病院小児科1),JA長野厚生連富士見高原病院小児科2) 宇田川 美野子1) 林 和代1) 江川 充2)
■キーワード
神経性食欲不振症, 精神症状
■要旨
入院治療開始後にせん妄と考えられる幻覚,妄想,異常言動などの精神症状が出現した神経性食欲不振症制限型の女児例2例(12歳,17歳)を経験した.2例とも問題となった症状は原病の回復に伴って短期間で改善し予後は良好であった.2例の発症背景には家族の相互関係などに起因する精神的ストレスがあったと考えられ,それらに本人の性格などが関連して精神症状が出現し,低栄養状態の進行および入院治療の開始に伴って精神症状が増幅したものと考えられた.標準体重の65〜70%を下回るような低体重では,治療への抵抗性が増し,患者は身体的にも精神的にも重篤な合併症を生じ易い大変危険な状態にあると考えられた.
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【原著】
■題名
医療と教育の連携により注意欠陥/多動性障害不注意優勢型と診断された難治性喘息の1例
■著者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター小児科 吉田 之範 錦戸 知喜 亀田 誠 土居 悟
■キーワード
小児気管支喘息, 注意欠陥/多動性障害, 医療と教育の連携, 自己管理能力, 心理社会的問題
■要旨
症例は18歳女子で,気管支喘息(喘息)コントロール不良のため10歳0か月で当科紹介となった.16か月間入院し退院したが,退院すると服薬を継続せず症状は増悪した.また不登校であった.通院も不定期で,自宅で喘息死もありえると考えられたため,再度長期入院をした後,13歳10か月で病院近くの児童養護施設(施設)に入所した.学校は病院併設の養護学校(養学)に通った.施設での生活に馴染みやすい働きかけが必要であったため,入所後は主治医・担当看護師・臨床心理士・養学担任・施設スタッフで病状と生活面について2〜3か月毎に話し合った.中学を卒業し普通高校に進学した後も,高校担任を加えて話し合いを継続した.17歳4か月時の話し合いで“年齢不相応な理解しがたい行動がある”ことが分かり,児童精神科で注意欠陥/多動性障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)不注意優勢型と診断された.本人の自己管理能力の範囲を考慮して主治医・担当看護師・臨床心理士・施設スタッフが喘息治療を支援するようになってから,本人は喘息治療に主体的に取り組むようになった.本症例において医療と教育の連携によってADHDの診断に至り,さらにADHDの適切な対応によって喘息治療が好転した.医療と教育の連携が重要であることが示唆される.
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【原著】
■題名
後天性サイトメガロウイルス感染症による血小板減少性紫斑病を発症した超低出生体重児の1例
■著者
市立豊中病院小児科 五十嵐 岳宏 徳永 康行 笹瀬 紗知子 河本 浩二 川上 展弘 吉川 真紀子 松岡 太郎
■キーワード
後天性サイトメガロウイルス, 血小板減少性紫斑病, 早産児, 母乳
■要旨
後天性サイトメガロウイルス感染症による血小板減少性紫斑病を発症した超低出生体重児の1例を経験した.症例は在胎26週2日,出生体重964 gで出生した生後3か月の女児である.慢性肺疾患と未熟児貧血を併発しており,フロセミド,アミノフィリン,鉄剤を内服中であった.日齢84,全身に点状出血斑が散在し,採血にて血小板数2.3万/μlと著明な低下を認めた.血小板関連IgGの上昇及び骨髄検査で巨核球に血小板付着像を認めなかったことから血小板減少性紫斑病と診断した.免疫グロブリン投与を行ったところ,速やかに血小板数の上昇を認めた.当初は日齢78に投与したパリビズマブによる副作用も疑われたが,後日パリビズマブを再投与したところ血小板減少を認めなかった.さらに,血小板減少性紫斑病の発症時期にサイトメガロウイルスIgM抗体の上昇を認め,後日IgG抗体の上昇を認めた.血清抗体価の推移から本症例ではサイトメガロウイルスが後天的に感染し,血小板減少性紫斑病を発症したものと考えられた.また,日齢54より冷凍ではない生母乳(直接母乳)を開始していたことより,感染経路は経母乳感染と推測された.早産児や低出生体重児では後天性サイトメガロウイルス感染症による血小板減少性紫斑病を発症することがある.
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【原著】
■題名
後腹膜腔鏡下腎生検を実施した2小児例
■著者
自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児科1),自治医科大学附属病院腎臓センター外科2) 小高 淳1) 金井 孝裕1) 市川 万邦1) 伊東 岳峰1) 齋藤 貴志1) 青柳 順1) 石川 暢夫2) 八木澤 隆2) 桃井 真里子1)
■キーワード
後腹膜腔鏡下腎生検, 出血傾向, 小児, 低侵襲
■要旨
腎生検は,腎疾患の診断,病勢確認,治療方針の決定に重要であるが,出血傾向や単腎,腎奇形がある場合,経皮的腎生検は相対的禁忌となる.通常これらの例では安全性を考慮し,直視下での開放腎生検を選択することとなる.今回,我々は出血傾向を有するMYH9異常症の13歳女子と,高度の肥満を有し超音波ガイド下経皮的腎生検の施行が困難であった14歳男子に対し,本邦の小児では報告がない後腹膜腔鏡を用いた腎生検を行った.当科で施行した開放腎生検例と比較しても,その手術時間は変わらず,臨床上問題となる程度の出血は2例とも術中術後に認めず,安全に施行できた.また,後腹膜腔鏡下腎生検では2か所に切開創が必要となるが開放腎生検と比較し術創が小さく低侵襲で行うことができた.後腹膜腔鏡下腎生検は超音波ガイド下経皮的針生検が困難である場合に考慮されるべき方法であると思われた.
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【原著】
■題名
心臓移植を目的とした小児拡張型心筋症患児のブラジルへの移送経験
■著者
自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児科 平久保 由香 白石 裕比湖 桃井 真里子
■キーワード
急性心筋炎, 拡張型心筋症, 航空輸送, 心臓移植
■要旨
現在,日本で小児の心臓移植を行うことは難しく,海外渡航移植を検討する必要がある.
今回,在日ブラジル人の急性心筋炎後の拡張型心筋症の2歳例を経験した.嘔吐,呼吸苦を主訴に発症し,心拡大,心機能低下,CPK上昇を認め,急性心筋炎として治療を開始した.水分制限,利尿薬,強心薬に加え,大量ガンマグロブリン療法も併用したが,心拡大は続き,左室の著明な拡張を認めるようになり,急性心筋炎後の拡張型心筋症と診断した.血管拡張薬に加え,β遮断薬の内服を開始したが,心拡大や心機能は改善せず,意識消失発作や非持続性心室頻拍を認めるようになり,心臓移植が必要と判断した.両親が母国ブラジルの病院への転院を希望したため,心臓移植を含めた治療目的に渡航を決めた.ブラジルへは米国経由で約24時間の航空機移動が必要であり,医師2名が付き添い,患児は心電図,酸素飽和度モニターを装着し,鎮静と酸素の持続吸入を行いながら,無事に渡航することができた.渡航から1か月後,無事に心臓移植が行われたと転院先の医師から連絡が入った.
心臓移植を目的としたブラジルへの渡航経験は,他に報告がなく,今後の心臓移植にかかわる小児科医に役立つと考え,報告する.
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