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日本小児科学会雑誌 目次 |
(登録:06.01.17)
第109巻 第12号/平成17年12月1日
Vol.109, No.12, December 2005
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第108回日本小児科学会学術集会 |
教育講演 |
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藤原 成悦 1417 |
原 著 |
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本庄 綾子,他 1425 |
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面家 健太郎,他 1434 |
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村上 貴孝,他 1439 |
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東野 博彦,他 1444 |
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田中 智子,他 1452 |
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神野 和彦,他 1457 |
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赤嶺 陽子,他 1462 |
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浅田 和豊,他 1466 |
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1470 |
日本外来小児科学会予防接種委員会委員会報告 |
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乳児BCG直接接種の導入に関する全国自治体への緊急実態調査
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1503 |
遺伝医学関連学会報告 |
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1511 |
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1520 |
イーライリリーフェローシップ報告 |
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金子 一成 1524 |
「こどもの健康週間」作文コンクール |
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1533 |
【原著】
■題名
マウスを用いたDTaP三種混合ワクチン接種後に起こる局所反応の病理組織学的解析
■著者
聖マリアンナ医科大学小児科学教室 本庄 綾子 勝田 友博 立山 悟志 長岡 千春 徳竹 忠臣 有本 寛 中島 夏樹 五島 敏郎 加藤 達夫
■キーワード
沈降精製DPTワクチン, 局所反応, 病理組織所見, ワクチン添加物
■要旨
わが国において,1981年より無菌体百日咳ワクチンを含む沈降精製DPTワクチンの接種が行われるようになったが,局所反応としての発赤・腫脹はいまだに認められており,原因物質は特定されていない.そこで我々は,生後8週齢のICR系SPF雄マウスを用いて,沈降精製DPTワクチン(以下DTaP),沈降ジフテリア破傷風混合トキソイド(以下DT),沈降破傷風トキソイド(以下T),添加物であるチメロサール,ホルマリン,塩化アルミニウムを一匹当たり各0.5 mlずつ,4週ごとに2回腹部皮下に接種し,局所反応部位の病理学的変化とその程度を検証した.
2回接種1週間後,DTaP,DT,T接種群において,各群5匹中4匹のマウスの接種部位に,長径5 mm程度の硬結が見られ,添加物3種の接種群では肉眼的変化は見られなかった.接種部位の病理組織検査では,炎症を示唆する好中球や,アレルギーを示唆する好酸球といった細胞浸潤像が認められたが,接種物質により程度の差があった.コントロール群に変化は見られなかった.局所反応は,ある1つの物質によるというよりも,様々な物質と機序が関与して生じている可能性が高いと思われる.
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【原著】
■題名
アデノウイルス3型による集団感染の伝播状況についての検討
■著者
岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学 面家 健太郎 青木 美奈子 松隈 英治 川本 典生 深尾 敏幸 近藤 直実
■キーワード
アデノウイルス3型, 集団感染
■要旨
2003年10月から11月に岐阜県A町において流行したアデノウイルス感染症の伝播状況について検討した.
流行の発端となった保育園において在籍している園児の全家庭にアンケートを行った.アンケートは園児161人中126人(78%)より回答を得た.これにより保育園での全学年合同の誕生会を契機に流行したことが推測された.アンケート回答者において発症者は75人(60%),また家族内での二次感染は37家庭(49%)の家族57人に認めた.保育園閉鎖はさらなる感染拡大の防止に効果的であったと考えられる.
同時期にA町診療所を受診した急性扁桃炎患児の咽頭などよりアデノウイルス3型が分離同定された.
アデノウイルス感染症は,インフルエンザ,麻疹などに比べ,登園停止が徹底されていないが,今回のように短期間で流行を認めることがあること,また重症化する症例が少なくないことから,二次感染予防のため適切な診断に基づいた登園停止の指導が必要であると考えられた.
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【原著】
■題名
二次救急施設におけるけいれんに対する初期治療の検討
■著者
特別医療法人中野こども病院 村上 貴孝 喜多 俊二 居原田 安奈 藤井 喜充 奥田 晃司 目黒 敬章 圀府寺 美 木野 稔 中野 博光
■キーワード
遷延型けいれん, 群発型けいれん, ジアゼパム, ミダゾラム, リドカイン
■要旨
最近6年間のけいれん発作治療例をまとめ,二次救急医療機関におけるけいれんに対する初期治療のあり方を再検討した.症例は,けいれんが15分以上遷延あるいは1日に3回以上のけいれん群発を認め,抗けいれん剤の点滴あるいは静注を必要とした,2カ月から12歳10カ月の201例である.
疾患別には,てんかんや脳炎・脳症のような中枢神経系の器質的な病態よりも熱性けいれんや軽症下痢に伴うけいれんなど,いわゆる機会関連性けいれんが多かった.遷延型のけいれんに対しては,群発型に比べdiazepamの有効率が有意に低かった.群発型には,点滴による維持が可能なmidazolamやlidocaineが有効であり,特に良性乳児けいれんや軽症下痢に伴うけいれんでは有効率が高かった.
けいれんに対する初期治療は,遷延例と群発例にわけて,各施設に応じたマニュアルを作り施設内で可能な治療をあらかじめ設定しておき,その範囲を超えれば速やかに高次施設へ連携する態勢作りが重要である.
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【原著】
■題名
多周波数生体電気インピーダンス法を用いたネフローゼ症候群患児における体液変動の検討
■著者
関西医科大学小児科1),河内総合病院小児科2),中野こども病院3) 東野 博彦1) 東野 佐和子2) 野田 幸弘2) 服部 祐子3) 磯崎 夕佳1) 中野 景司1) 小林 陽之助1)
■キーワード
ネフローゼ症候群, 生体電気インピーダンス法, 体水分区分
■要旨
目的:多周波数生体電気インピーダンス法を用いてネフローゼ症候群の発症初期から回復期に至るまでの患児の体液の変動を経時的に観察し,浮腫の病態の把握と体液管理の治療効果判定とに役立てる.
対象と方法:ネフローゼ症候群患者11名.多周波数方式生体インピーダンス法を用いて,経過中の体水分区分(総水分,細胞外液,細胞内液),体重,尿量,尿中蛋白および血清アルブミン値の推移を観察し,血清アルブミン値と細胞外液/細胞内液との相関関係を検討した.
結果:急性期には総水分と細胞外液との著明な増加があり,細胞外液は細胞内液を上回った.蛋白尿の減少と血清アルブミン値の上昇とに伴い総水分と細胞外液は減少し,回復期には細胞外液と細胞内液の比は逆転し,以後安定した.利尿薬とアルブミン製剤の投与および透析とにより,体液は急激に減少し,血清アルブミン値と細胞外液/細胞内液比は負の相関関係を呈した.
結論:ネフローゼ症候群で多周波数生体電気インピーダンス法による体液区分の変動を観察することは,急性期の病態と治療効果とを把握する上で極めて有用であった.
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【原著】
■題名
特発性縦隔気腫におけるHamman's signの成因について
■著者
関西医科大学附属洛西ニュータウン病院小児科1),同 放射線科2) 田中 智子1) 荻野 廣太郎1) 岡本 真道1) 河村 栄美子1) 藤原 亨1) 鹿浦 砂智子2)
■キーワード
特発性縦隔気腫, Hamman's sign, Hamman's crunch, 胸部エックス線写真, 胸部CT写真
■要旨
Hamman's sign(Hamman's crunch)は1937年Hammanによって初めて報告された,心拍動に一致して胸骨左縁に聴取される低調な捻髪音である.縦隔気腫や気胸で認められる徴候だが,頻度としてはまれといわれている.今回,我々はHamman's signを聴取した特発性縦隔気腫の15歳の男子例を経験し,その症候の出現前から消失までの経過を胸部エックス線写真と胸部CT写真とで経時的に観察することができた.その結果Hamman's signは,心室前面の心膜周囲に気腫が伸展し,胸壁との間にある空気が心拍動によって圧排される時に生じることが画像診断上確認された.
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【原著】
■題名
横紋筋融解症を発症した清涼飲料水ケトーシスの1例
■著者
広島鉄道病院小児科 神野 和彦 松浦 良二 安村 純子
■キーワード
清涼飲料水ケトーシス, 横紋筋融解症, 糖尿病性ケトアシドーシス, 高浸透圧血症, 2型糖尿病
■要旨
症例は12歳男児.2003年1月頃より清涼飲料水の多飲と嘔吐がみられるようになり,1月14日朝意識障害あり,当院に救急搬送された.血糖1,609 mg/dl,ケトアシドーシス,高浸透圧血症を認めたので,清涼飲料水ケトーシスと診断した.著明な脱水所見があり,急性腎不全,横紋筋融解症を併発していた.適切な輸液とインスリンにより意識障害は改善し,併発症は重篤化しなかった.よって,清涼飲料水ケトーシス症例では,横紋筋融解症,腎不全などの重篤な合併症の発症および進行を引き起こす可能性を念頭において対応すべきである.
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【原著】
■題名
出生時腹腔内大量出血をきたし,化学療法が奏功した新生児神経芽腫Stage4Sの1例
■著者
琉球大学医学部付属病院周産母子センター1),同 小児科2),
琉球大学医学部病態解析医科学講座育成医学分野3) 赤嶺 陽子1) 吉田 朝秀1) 安里 義秀1) 比嘉 猛2) 百名 伸之3) 太田 孝男3)
■キーワード
新生児, 神経芽腫, Stage4S, 肝腫大, 腹腔内出血
■要旨
神経芽腫Stage4Sは予後良好群として知られるが,新生児では著明な肝腫大に伴う二次的障害による死亡率が高い.今回我々は在胎38週以降から胎児エコーにて腹囲増大を認め,出生時に腹部膨満と腹腔内大量出血をきたした神経芽腫Stage4Sの1例を経験した.症例は日齢0日の女児.在胎39週5日,3,518 gで出生.出生時,腹部膨満,高度の貧血(Hb. 5.7 g/dl),腹腔内出血を認めた.単純CTでは著明な肝腫大と肝内に散在する低吸収域,造影CTにて左後腹膜にリング状造影効果を伴う嚢胞性腫瘤が認められた.尿中vanilyllmandelic acid(VMA),homovanillic acid(HVA),血中neuron-specific enolase(NSE)高値,metaiodobenzil guanidine(MIBG)シンチグラムの結果より,神経芽腫Stage4Sと診断した.化学療法(vincristine(VCR)+cyclophosphamide(CPM)+pirarubicin(THP-ADR))を行ったところ,肝転移巣は著明に縮小し,3コース終了後に原発巣摘除し救命し得た.新生児の神経芽腫Stage4Sでは分娩時に大量出血を来す場合があり,事前に産科,小児科との十分な連携が必要である.また多剤併用化学療法は有効で,重篤な副作用もなく,放射線,外科的治療に先行してまず試みるべき治療法と思われる.
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【原著】
■題名
閉塞性黄疸を契機に発見された膵管非癒合の1例
■著者
社会保険徳山中央病院小児科 浅田 和豊 内田 正志 水谷 誠 立石 浩 藤田 京子
■キーワード
閉塞性黄疸, 膵管非癒合, ERCP, IDUS, 胆管空腸R-Y吻合
■要旨
腹痛,嘔吐,下痢で発症し,高ビリルビン血症・肝機能障害・胆道拡張を認め,ERCPとIDUSの詳細な読影により,膵管非癒合と診断した11歳男児例を経験した.本症例では,膵管非癒合による膵形成異常のため,総胆管の強い狭窄をきたしていた.その結果,閉塞性黄疸が出現し,肝機能障害・胆道拡張をきたしたと考えた.内視鏡的経鼻胆管ドレナージで減黄した後に,総胆管・胆嚢切除,胆管空腸R-Y吻合を施行した.術後,一過性の肝機能障害を認めたが,その後経過良好である.
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