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日本小児科学会雑誌 目次

(登録:03.05.30)

第107巻 第5号/平成15年5月1日
Vol.107, No.5, May 2003


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第一〇七回日本小児科学会学術集会予告(第一報)
総  説
1. 遺伝子多型とアレルギー
大嶋 勇成,眞弓 光文 733
2. 微小成長遺伝子(低身長感受性遺伝子) 
緒方  勤 740
3. 呼吸器疾患としての小児アレルギー性疾患
望月 博之,森川 昭廣 748
原  著
1. 乳児期発症アトピー性皮膚炎患者におけるTh1/Th2の検討
井澤 雅子 757
2. 自己免疫性甲状腺疾患を合併した1型糖尿病の臨床的検討
中川万樹生,他 763
3. 新生児マススクリーニングで発見され,重度の低血糖を示したFanconi-Bickel症候群の1例
中川友紀子,他 769
4. T1強調MRI像で下垂体後葉の高信号が持続する中枢性尿崩症の1例
久保 俊英,他 775
5. 4回のCD34純化末梢血幹細胞移植を含む集学的治療後に水痘・帯状疱疹ウイルス脳炎を合併した神経芽腫の1例
大園 秀一,他 780
6. Glypican 3遺伝子の変異を示したSimpson-Golabi-Behmel症候群の1例
國方 徹也,他 785
短  報
Greulich-Pyle法と日本人標準Tanner-Whitehouse 2法およびコンピュータ骨成熟評価システムのGreulich-Pyle法アトラスを資料とした比較検討
田中 紀子,他 789
日本小児科学会小児救急プロジェクトチーム報告
中澤  誠 792
1.小児救急医療における学会の役割を探る―医師会の立場から
桑原 正彦 796
2.国立成育医療センターにおける救急医療への取り組み
阪井 裕一 800
地方会抄録(中国四国,大分,鹿児島,甲信,滋賀,青森,岡山,香川,東京,佐賀,北海道,福岡,熊本)
803
日本小児科学会理事会議事要録 858
お知らせ・訂正 862
雑報 864
緊急安全性情報 No.02-06866 866
医薬品・医療用具等安全性情報 No.186 867


【原著】
■題名
乳児期発症アトピー性皮膚炎患者におけるTh1/Th2の検討
■著者
東邦大学医学部大橋病院第2小児科学教室
井澤 雅子
■キーワード
タイプ2ヘルパーT(Th2)細胞,Th1/Th2バランス,アトピー性皮膚炎,乳児
■要旨
 アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis,以下ADと略す)は,乳児期早期に発症し寛解増悪を繰り返す.乳児ADの発症あるいは皮膚病変形成にタイプ2ヘルパーT(Th2)細胞優位の関与を明らかにするために,乳児期発症AD患児において,末梢血Th2細胞の変動およびTh1/Th2バランスについて検討した.乳児期発症AD患児で認められる血清総IgE値の増加,末梢血好酸球数の増加は,Th2サイトカイン優位を示していた.末梢血Th2細胞パーセントの増加は認められなかったが,Th1細胞パーセントの減少が認められた.また,湿疹病変の拡大が見られた群ではTh1/Th2バランスの低値が認められた.Th1細胞パーセントの減少,Th1/Th2バランスの低下は,相対的Th2サイトカイン優位を導き,それぞれ乳児ADの発症,病変拡大に関与すると考えられた.


【原著】
■題名
自己免疫性甲状腺疾患を合併した1型糖尿病の臨床的検討
■著者
日本大学小児科
中川万樹生 稲見 育大 久保田茂樹
浦上 達彦 大和田 操 原田 研介
■キーワード
1型糖尿病,自己免疫性甲状腺疾患(AITD),甲状腺自己抗体,HLA,Th1/Th2サイトカインバランス
■要旨
 小児1型糖尿病103例(男/女=46/57,14.4歳±6.6歳)の中で自己免疫性甲状腺疾患(AITD)を合併した症例の臨床的特徴について検討した.1型糖尿病の甲状腺自己抗体の陽性率は18.4%で,AITDの合併頻度は5.8%(6例,全例女児)であった.合併したAITDの病型ではBasedow病が2例,橋本病が4例であり,橋本病と1型糖尿病との病因の相同性(サイトカインバランスでTh1>Th2優位)が示唆された.ICA,GAD抗体は検索した全例で診断時に陽性を示し,経過中持続陽性を示す症例が多かった.HLA class IIでは両疾患に共通した疾患感受性遺伝子をもつ頻度が高かった.以上から1型糖尿病とAITDの合併例では疾患感受性遺伝子の効果により,膵と甲状腺の両組織でサイトカインバランスとしてTh1優位の組織破壊が緩徐に進行する可能性が示唆された.


【原著】
■題名
新生児マススクリーニングで発見され,重度の低血糖を示したFanconi-Bickel症候群の1例
■著者
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学1),大阪市環境保健協会2)
中川友紀子1) 岡野 善行1) 兪  幸秀1) 豊川 三枝1)
今村 卓司1)  藤本 昭栄2)  山野 恒一1)
■キーワード
Fanconi-Bickel症候群,新生児マススクリーニング,低血糖,近位尿細管障害,糖原病
■要旨
 Fanconi-Bickel症候群は糖輸送体(GLUT2)の異常により発症し,肝腎へのグリコーゲンの蓄積,糖の利用障害,近位尿細管障害を特徴とする.我々は新生児マススクリーニングの総ガラクトース高値(49.2 mg/dl)で発見されたFanconi-Bickel症候群の女児例を報告する.ガラクトース高値のためガラクトース除去ミルクを直ちに開始した.ガラクトース,グルコースの負荷試験でその利用障害とALP高値,汎アミノ酸尿,尿糖,高カルシウム尿症の尿細管障害を認め,Fanconi-Bickel症候群と診断した.生後6カ月時では成長障害,肝腫大,腹部膨満,くる病性変化はなく,発達は正常であった.本症例は著しい低血糖(20mg/dl)を示し,1日8回の離乳食とガラクトース除去ミルク+デキストリンで低血糖は改善傾向を認めた.ガラクトース除去ミルクへのフルクトース,コーンスターチの添加では血糖上昇作用は著明ではなかった.Fanconi-Bickel症候群の初期治療には頻回の食事療法と十分なグルコースの補給が必要である.


【原著】
■題名
T1強調MRI像で下垂体後葉の高信号が持続する中枢性尿崩症の1例
■著者
岡山市立市民病院小児科
久保 俊英  大橋 博美
■キーワード
中枢性尿崩症,MRI,ADH-neurophysin II遺伝子,リンパ球性漏斗下垂体神経葉炎
■要旨
 T1強調MRI画像上における下垂体後葉の高信号は,ADH分泌顆粒を反映し,その消失は中枢性尿崩症に特徴的所見とされてきた.
 私達は,高信号が持続する中枢性尿崩症例を経験した.症例は,7歳男児で,2年前からの尿崩症症状を主訴に入院し,水制限試験,DDAVP負荷試験で中枢性尿崩症と診断した.入院時のMRIで下垂体の形状は正常で,後葉の高信号を認めた.下垂体前葉機能検査で異常は認めない.尿崩症の家族歴はなく,ADH-neurophysin II遺伝子異常も認めなかった.しかし,母・伯母共にSLE・橋本病があり,患児の血清中抗下垂体中葉抗体が陽性であった.
 定期的MRI検査で1年半経過後も下垂体の形状に変化なく,高信号が持続している.高信号持続の原因として,非常に緩徐に進行する自己免疫性の神経葉炎の可能性も否定できないが,神経終末から血管周囲へのADH分泌顆粒の放出障害の可能性もある.

【原著】
■題名
4回のCD34純化末梢血幹細胞移植を含む集学的治療後に水痘・帯状疱疹ウイルス脳炎を合併した神経芽腫の1例
■著者
久留米大学医学部小児科
大園 秀一,家村 明子,上田耕一郎
稲田 浩子,安藤 昭和,江口 春彦
■キーワード
帯状疱疹ウイルス脳炎,CD34陽性純化末梢血幹細胞移植,がん集学的治療,アシクロビル
■要旨
 症例は初診時6歳の女児.進行神経芽腫の診断にて化学療法,放射線療法,腫瘍摘出術,および計4回のCD34純化自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)を行った.治療終了1カ月後に帯状疱疹を発症し,以後軽快と再燃を繰り返した.治療終了後7カ月頃より発熱,嘔吐,頭痛を認め,次第に意識レベルが低下し痙攣を発症した.頭部CTにて脳室拡大を認め,髄液中のVZV-IgG抗体価の上昇を認め,PCR法でVZV-DNAが検出されたことよりVZV脳炎と診断した.アシクロビル(ACV)静脈内投与,及び脳室ドレナージで臨床症状と髄液所見の改善を認めた.強い免疫抑制を惹起する集学的治療とステロイド投与がVZV感染の長期化,重症化の背景にあると考えられた.


【原著】
■題名
Glypican 3遺伝子の変異を示したSimpson-Golabi-Behmel症候群の1例
■著者
愛媛県立中央病院新生児科1),愛媛大学医学部衛生学2)
國方 徹也 岡崎  薫1) 岩瀬 孝志1) 大滝 吉紀1)
寺田 一也1) 藤澤 由樹1) 近藤 郁子2)
■キーワード
Simpson-Golabi-Behmel症候群,過成長,Glypican 3遺伝子,横隔膜ヘルニア
■要旨
 症例は32歳の両親の間に第3子として出生した男児.在胎32週2日,Apgar score 7/8,体重2,944g(+3.5SD),身長49.0cm(+2.4SD),頭囲31.5cm(+1.0SD)にて出生した.粗野な顔貌,鼻根部扁平,眼間解離,大きな口,巨舌,大きな手足,漏斗胸,筋緊張低下,副乳,水腎症,小陰茎などを認め,生後4カ月時,右横隔膜ヘルニアを発症し根治術を施行した.以後の経過でも過成長,頭囲拡大が進行した.以上よりSimpson-Golabi-Behmel症候群を疑い,glypican 3(GPC3)の遺伝子解析を施行したところ,541番目の塩基対のCがTに置換した結果,181番目のアミノ酸がグルタミンから終止コドンに変異した,現在まで報告のないナンセンス変異が同定された.


【短報】
■題名
Greulich-Pyle法と日本人標準Tanner-Whitehouse 2法およびコンピュータ骨成熟評価システムのGreulich-Pyle法アトラスを資料とした比較検討
■著者
国立成育医療センター研究所1),国立成育医療センター2),東京女子医科大学第2病院小児科3),
都立清瀬小児病院内分泌代謝科4),東京都立大学理学部5),東北大学大学院歯学研究科6)
日本体育協会7)
田中 紀子1) 佐藤 直子1) 佐藤 真理1)2) 田中 敏章1)2)
松尾 宣武2) 松岡 尚史3) 村田 光範3) 安蔵  慎4)
大槻 文夫5) 佐藤 亨至6) 塚越 克己7)
■キーワード
骨年齢,Greulich-Pyle法,骨年齢自動測定法
■要旨
 Greulich-Pyle(GP)法アトラスを日本人標準Tanner-Whitehouse2法のRadius,Ulna,Short Bones(TW2-RUS)法,コンピュータ骨成熟評価システム(Computer Aided Skeletal Maturity Assessment System;CASMAS)で評価した.GP法とそれぞれ,TW2-RUS法およびCASMASとの比較において,GP法とCASMAS値とは非常に近似した.GP法とTW2-RUS法値とは近似したが,部分的に差が見られ,それは日本人特有の尺骨の成熟によると考えられた.





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