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日本小児科学会雑誌 目次

(登録:02.10.01)

第106巻 第9号/平成14年9月1日
Vol.106, No.9, September 2002


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総 説
日本小児精神神経学会トピックス 子ども虐待 Child Abuse
奥山 眞紀子 1131
急性脳症に対する低体温療法とステロイドパルス併用療法の評価と今後の課題
木村 清次,他 1142
第105回日本小児科学会学術集会
基調講演
地球・微生物・人間
加藤 延夫 1149
教育講演
小児人工呼吸管理
武澤  純 1156
注意欠陥/多動性障害(ADHD)の診断上の問題と医療的支援
平林 伸一 1160
HHV6、HHV7感染症の今日的話題
浅野 喜造,他 1166
シンポジウム 小児科医として子供の虐待にどう関わるか
座長発言 長島 正實,小林 美智子 1172
虐待の現状―救急現場から 市川光太郎 1174
小児科医として子どもの虐待にどう関わるか―病院での取り組み
山崎 嘉久 1180
児童相談所の役割
澤田  敬 1187
虐待の予防と小児科医の役割
小泉 武宣 1194
分野別シンポジウム ウイルスと血液疾患
座長発言 脇口  宏,河敬  世 1200
造血幹細胞移植とウイルス:CMV、EBV、HHV-6
木村  宏 1202
母子ウイルス感染の診断と予防治療:HIVとHTLVの経母乳感染
森内 浩幸 1207
血球貧食症候群とウイルス 脇口  宏、他 1211
EBウイルス関連血液疾患におけるウイルス感染細胞とその動態
笠原 善仁 1217
潜伏ウイルス感染症とその治療
佐藤恵実子,他 1223
原 著
1.川崎病に対する冠動脈造影実施の過去10年間の動向
上原 里程,他 1230
2.West症候群144例の頭部CT、MRIからみた大脳病変分布の特徴
浜野晋一郎,他 1235
3.呼吸窮迫症候群に対する人工肺サーファクタントの投与回数の検討:全国多施設共同比較臨床試験
千田 勝一,他 1241
4.呼吸窮迫症候群に対する人工肺サーファクタントの投与時期の検討:全国多施設共同比較臨床試験
嶋田 泉司,他 1251
5.β-ケトチオラーゼ欠損症に非ホジキンリンパ腫を合併した1例
間  敦子,他 1261
6.第3イントロンにIVS3+28G→A変異を認めた遺伝性成長ホルモン単独欠損症・型
間部 裕代,他 1267
7.いわゆる蚊アレルギーの1例―EBウイルスDNAとNK細胞抑制性受容体検査を行った1歳児─
石原 重彦,他 1273
8.Nasal-BiPAPが有効であった先天性中枢性肺胞低換気症候群の I 乳児例
武内 一夫,他 1278
9.バルーン拡張術、ステント挿入術を施行した先天性気管狭窄症の I 乳児例
山田  博,他 1288
RSウイルス感染症の予防について
(日本におけるパリビズマブの使用に関するガイドライン)
1288
地方会抄録 (島根、滋賀、青森、京都、北海道、宮城、千葉、徳島、福岡、北陸、愛媛) (1293)
日本小児科学会新理事会議事要録 (1330)
財団準備室ニュース (1232)
平成15年度(第3回)小児医学研究振興財団設立準備室
ファイザー海外留学フェローシップの募集について
ファイザーアワードの選考について
平成15年度(第2回)小児医学研究振興財団設立準備室
イーライリリーフェローシップの募集について
イーライリリーアワードの選考について
雑報 (1338)
お知らせ(1341)
緊急安全性情報 2002年 NO.02-2(1342)
医薬品・医療用具等安全性情報 NO.179 (1344)


【原著】
■題名
川崎病に対する冠動脈造影実施の過去10年間の動向
■著者
自治医科大学地域医療学1),自治医科大学公衆衛生学2),埼玉県立大学3)
上原 里程1) 中村 好一2) 屋代 真弓2)
梶井 英治1) 柳川  洋3)
■キーワード
■要旨
 目的:過去10年間の川崎病に対する冠動脈造影(CAG)実施動向を明らかにする.
対象および方法:第11回(1989〜1990年)から第15回(1997〜1998年)の川崎病全国調査に連続して報告のあった施設のうち,すべての調査でCAG実施の有無が明確であった536施設を対象とした.CAG年間実施件数の変化とCAG実施施設割合の変化を観察した.また,10年間に継続してCAGを実施した施設割合を観察した.
 結果:CAGを実施した施設のうち年間1〜4件実施した割合は第11回で42%,第15回で52%と増加傾向にあった.一方,年間20〜49件実施した施設は第11回で9%であったのに対し,第15回で2%へ減少していた.各調査回でCAGを実施した施設は経年的にCAG実施割合が減少したが,それらの減少の程度に大きな変化はなかった.過去5回の全国調査のうち1回以上でCAGを実施したと回答した125施設のうち,47%はすべての調査回でCAGを実施していた.
 結論:過去10年間でCAG実施件数が少数である施設が増加し実施件数が多数である施設は減少していた.またCAGを実施した施設割合は経年的に減少していた.これらの要因の1つにCAG適応患者数の減少が考えられた.


【原著】
■題名
West症候群144例の頭部CT、MRIからみた大脳病変分布の特徴
■著者
埼玉県立小児医療センター神経科1),東京慈恵会医科大学小児科2)
埼玉県立小児医療センター放射線科3)
*:現,北九州市立総合療育センター
浜野晋一郎1)2) 田中  学1) 望月 美佳1)2) 杉山 延喜1)
奈良 隆寛1)* 小熊 栄二3) 衛藤 義勝2)
■キーワード
■要旨
 全般てんかんに分類されるWest症候群で,限局性大脳皮質病変の切除によりが点頭てんかん発作が消失した症例報告などから,大脳皮質病変の重要性が指摘されている.今回,1983年4月以降2001年9月までに受診したWest症候群178例のうち,頭部CT,MRIの両者を行った144例の画像所見をまとめ限局性病変の症例を中心にその病変の種類と局在について検討した.144例中33例はCT,MRIとも正常であった.残り111例ではMRIまたCTのいずれかもしくは両者で異常を認めた.病変の分布からびまん性病変,散在性病変,限局性病変に分類するとそれぞれ83例,17例,11例であった.限局性病変を認めた11例はいずれも後頭葉,側頭葉に病変を認め,右側に病変を有する症例が9例だった.West症候群の発症機序と脳の発達,とくに左右差,髄鞘化の進展との関連において興味深い所見と思われた.


【原著】
■題名
呼吸窮迫症候群に対する人工肺サーファクタントの投与回数の検討:全国多施設共同比較臨床試験
■著者
岩手医科大学小児科1),埼玉医科大学総合医療センター小児科2)
昭和大学小児科3),松戸市立病院新生児科4),神戸大学小児科5)
大阪府立母子保健総合医療センター新生児科6),巻末表7)  
千田 勝一1) 藤原 哲郎1) 嶋田 泉司1) 小西 峯生1)
小川雄之亮2) 奥山 和男3) 竹内  豊4) 中村  肇5)
藤村 正哲6) Surfactant-TA研究グループ7)
■キーワード
■要旨
 呼吸窮迫症候群(RDS)に対するサーファクテン●の1回投与法による重症度改善効果を分析した結果,まだ改善の余地のあることが示唆された.本研究ではサーファクタントの1回投与群(S群)と繰り返し投与可能な群(M群)を統一プロトコールを用いて比較し, RDSの重症度改善と,∨性肺疾患(CLD)の発症率減少とをendpointにした多施設共同比較臨床試験を行った.対象はサーファクタント欠乏を示した出生体重700〜1,299gの児で,合併症のない中等症以上のRDS発症例とした.これを無作為に割り付けて,生後6時間以内にサーファクテン●を気道内へ投与した.その後,M群に対しては4回の観察期間を設け,再投与基準(ventilatory index≧0.030)を満たした場合に再投与した.その結果,RDSの重症度はS群(84例)に比べてM群(67例)が生後12〜72時間まで有意な改善を示し,生後4週におけるCLDの発症率もM群で有意に減少した(S群42%,M群27%,P=0.029).ロジスティック回帰解析により,これらの効果は複数回投与法と有意に関連することが確認された.投与回数を検討した比較臨床試験で,これまでにCLDの減少が示されたのは本報告が初めてである.

【原著】
■題名
呼吸窮迫症候群に対する人工肺サーファクタントの投与時期の検討:全国多施設共同比較臨床試験
■著者
岩手医科大学小児科1),埼玉医科大学総合医療センター小児科2)
昭和大学小児科3),松戸市立病院新生児科4),神戸大学小児科5)
大阪府立母子保健総合医療センター新生児科6)
日本赤十字社医療センター新生児未熟児科7),淀川キリスト教病院小児科8)
鹿児島市立病院周産期医療センター9)
嶋田 泉司1) 千田 勝一1) 藤原 哲郎1) 小西 峯生1)
小川雄之亮2) 奥山 和男3) 竹内  豊4) 中村  肇5)
藤村 正哲6) 赤松  洋7) 船戸 正久8) 池ノ上 克9)
■キーワード
■要旨
 呼吸窮迫症候群(RDS)に対するサーファクタント補充療法は,生後数時間を経てRDSの発症を確認してから行われるのが一般的であるが,その間にも未熟肺の損傷が起こりうる.本研究ではサーファクタント補充療法をRDSの発症前に行う予防投与群(P群)と,RDSの発症確認後に行う治療投与群(R群)を統一プロトコールで比較して, RDSの重症度改善と,∨性肺疾患(CLD)の発症率減少とをendpointにした多施設共同比較臨床試験を行った.対象は出生直後の胃液でサーファクタント欠乏を示した出生体重700〜1,299gの合併症のない院内出生児とした.これを無作為に振り分けて,P群には生後30分以内に,R群には生後4時間にサーファクテン●を投与した.その結果,RDSの重症度はP群(40例)がR群(44例)よりも生後24時間まで有意な改善を示し,CLD発症率もP群がR群よりも有意に低かった(P群20%,R群49%,P=0.003).ロジスティック回帰解析により,これらの効果は予防投与法と有意に関連することが示された.予防投与によるCLD発症率の減少は,サーファクテン●を用いた既報の一施設の成績だけでなく,今回は多施設の成績でも実証された.


【原著】
■題名
β-ケトチオラーゼ欠損症に非ホジキンリンパ腫を合併した1例
■著者
1)済生会茨木病院小児科,2)大阪医科大学小児科学教室,
3)岐阜大学医学部小児科学教室
間  敦子1) 谷口 恭治1) 東 佐保子2) 井上 彰子2)
小川  哲2) 三宅 宗典2) 玉井  浩2) 美濃  真2)
深尾 敏幸3) 近藤 直実3)
■キーワード
■要旨
 急性胃腸炎を契機に意識障害,けいれんを呈し,著明なケトアシドーシスが認められた1歳の男児例を経験した.尿中有機酸分析,酵素診断等によりβ-ケトチオラーゼ欠損症と診断,治療として急性期にはブドウ糖輸液および炭酸水素ナトリウムの投与を行い症状回復後も低蛋白食とカルニチン投与を行った.初回ケトアシドーシス発作より6カ月後に発熱と胸腺腫大による咳嗽,呼吸困難が出現し,骨髄検査,リンパ球表面マーカー検査等にてTcell型の非ホジキンリンパ腫と診断した.化学療法中は高カロリー輸液を行いケトアシドーシス発作の予防に努め,約1年後寛解した.化学療法終了後現在までケトアシドーシス発作,悪性リンパ腫ともに再発は認めていない.


【原著】
■題名
第3イントロンにIVS3+28G→A変異を認めた遺伝性成長ホルモン単独欠損症II型
■著者
熊本大学医学部附属病院発達小児科*1)  
間部 裕代1) 岩谷 典学1) 三池 輝久1)
■キーワード
■要旨
 遺伝性成長ホルモン(GH)単独欠損症(IGHD)II型は常染色体優性遺伝の疾患であり,これまでGH1遺伝子の第3イントロン(IVS3)に変異をもち,スプライシング異常を起こす例が報告されている.我々は患者とその母親にGH分泌不全を認めた家系の遺伝子分析を行った.その結果,intervening sequence(IVS)3の5’側から28番目にG→Aのヘテロ接合性変異が認められた.変異の部位はpre-mRNAにスプライスゾームが作用するintron splice enhancer(ISE)motifの部分に相当し,スプライシングに重要な部位と考えられる.これまで報告されているIGHD II型におけるIVS3の他の部位の変異でも第3エクソンのスキップが起こることが知られており,本症例に認められる変異でも同様にdominant negative effectが生じていることを示唆している.


【原著】
■題名
いわゆる蚊アレルギーの1例―EBウイルスDNAとNK細胞抑制性受容体検査を行った1歳児─
■著者
市立柏原病院小児科1),浜松医科大学皮膚科学教室2)
福岡大学医学部第一病理学教室3)
大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学4)      
石原 重彦1) 戸倉 新樹2) 大島 孝一3) 浅田 秀夫4)
■キーワード
■要旨
 生後10カ月時に発症したいわゆる『蚊アレルギー』患児を1歳7カ月時に診察・検査する機会を得た.蚊刺後の局所症状が顕著で発熱を伴うという診断基準を満たしていたが,水疱を形成したものの,潰瘍・瘢痕化は認められず,『蚊アレルギー』という名称の由来のひとつであるIgEも3IU/mlと低値であった.末梢血単核球を用いたサザンブロット法ではEBウイルスDNA陽性細胞が単クローンではなく,少なくとも4つのクローンが存在していた.しかし,NK細胞抑制性受容体であるCD94はこれまでの報告例と同じように高発現していた.このCD94が『蚊アレルギー』の病因・病態の解明に重要な位置を占めると考えられる.この症例の予後についてはまだ予断が許されないが,『蚊アレルギー』から慢性EBウイルス感染症を経てNK細胞白血病を発症しないためにも今後も注意深い観察を行っていく.


【原著】
■題名
Nasal-BiPAPが有効であった先天性中枢性肺胞低換気症候群のI乳児例
■著者
長岡赤十字病院小児科
竹内 一夫 鳥越 克己 沼田  修 遠藤 彦聖
今村  勝 臼田 東平 金子 詩子 小川 洋平
■キーワード
■要旨
 先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS)の患児に在宅人工換気療法を目的として4カ月時よりネーザルマスクを用いたnasal-Bi-level positive airway pressure(n-BiPAP)を試み,良好な経過を得た.
 出生時,新生児仮死と診断したが,その後回復に伴い低換気が明らかとなりCCHSと診断した.経口気管内挿管による人工換気を施行したが,4カ月時より睡眠時のみn-BiPAPによる人工換気を開始し,良好な換気が得られた.両親への指導,母児同室を経て生後10カ月で退院し良好な経過を示している.
 CCHSは自然治癒することがなく長期入院となる例が多く,退院後も在宅人工換気が必須である.n-BiPAPは乳児期より使用でき,在宅人工換気への早期移行,患児,介護者のQOLの向上という点で利点のある人工換気法であると考えられた.


【原著】
■題名
バルーン拡張術、ステント挿入術を施行した先天性気管狭窄症の I 乳児例
■著者
大分医科大学小児科1),愛仁会高槻病院小児外科2),神戸大学第二外科3)
山田  博1) 前田 知己1) 秋吉 健介1) 福島 直喜1)
古城 昌展1) 泉  達郎1) 山本 哲郎2) 安福 正男2)
尾藤 裕子2) 前田 貢作3)
■キーワード
■要旨
 新生児期,乳児期において喘鳴を主訴とする種々の疾患のなかでも先天性気管狭窄症はまれであり,生後早期に症状を呈して不幸な転帰をとる例もある.生後4カ月より呼気性,吸気性喘鳴を来し,胸部X線写真,3次元CTで右上葉気管気管支を伴う限局型先天性気管狭窄症と診断した6カ月男児例を経験した.保存的治療にて経過を観察したが,生後10カ月に呼吸困難を呈し,気管バルーン拡張術,気管内ステント挿入術を施行した.一期的手術が困難な症例に対し有効な方法と考えられる.





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