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日本小児科学会雑誌 目次

(登録:01.12.27)

第105巻 第10号/平成13年10月1日
Vol.105, No.10, December 2001


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総 説
肥厚性幽門狭窄症の病因と病態および治療
名木田 章 1019
第104回日本小児科学会学術集会
会頭講演
医の原点としての小児科 飯沼 一宇 1030
シンポジウム 小児の血液・腫瘍疾患:病態解明から臨床へ
座長まとめ
林  泰秀、
杉本  徹
1035
BACH転写因子群と小児白血病
伊藤 悦朗、
土岐  力
1037
MLL遺伝子とその多様な転座相手遺伝子の小児白血病における意義
滝  智彦 1043
急性前骨髄性白血病におけるATRA療法
─キメラ分子標的の分化とアポトーシス誘導
今泉 益栄 1050
横紋筋肉腫とInsulin-like Growth Factor-・レセプターシグナル伝達路
細井 創 1057
神経芽腫における染色体欠失とがん抑制遺伝子
滝田 順子、
林  泰秀
1066
TRK-AとTRK-Bを介するシグナル伝達と神経芽腫の予後との関係
杉本  徹 1071
小児腫瘍の遺伝子発現プロファイル解析
油谷 浩幸 1078
特別企画 21世紀の情報化と小児科
遺伝病研究におけるコンピュータの利用─座長発言
鈴木 義之 1081
遺伝病研究におけるコンピュータの利用
呉  繁夫 1082
インターネット・コンピュータの活用
─小児科ホームページの作成経験─座長発言
矢田 公裕 1084
インターネット・コンピュータの活用─小児科ホームページの作成経験者
梶田 光春 1085
原 著
1.Down症候群患児の甲状腺機能に関する縦断的検討
永見 博子,他 1092
2.小児期の眼窩蜂巣炎17例の検討
中田慎一郎,他 1100
3.基礎疾患をもたない小児のA型インフルエンザ感染症に
  対する塩酸アマンタジンの使用経験
曽根 滋巳,他 1106
4.細菌性赤痢に伴った急性脳症の1幼児例
益崎まゆみ,他 1111
5.γ−サルコグリカノパチーの1女児例
多賀 俊明,他 1115
短 報
1.小児科医の麻疹,及び麻疹ワクチンに対する意識について
堤  裕幸,他 1119
2.B型肝炎ワクチン予防接種後に発症した血小板減少性紫斑病の2例
上野 良樹,他 1121
論 壇
MRSA感染及びその対策に関する意識調査
崔  信明,他 1123
地方会抄録(千葉、沖縄、香川、富山) (1126)
日本小児科学会理事会議事要録 (1263)
生涯教育シリーズNo.140 第31回応募問題 (1138)
Pediatrics Internationalからのお知らせ (1269)
お知らせ (1142)
雑報 (1145)
第120回日本医学会シンポジウム─血管新生の基礎と臨床 (1146)


【原著】
■題名
Down症候群患児の甲状腺機能に関する縦断的検討
■著者
神奈川県立こども医療センター内分泌代謝科1),
東京医科大学小児科2),神奈川県立こども医療センター遺伝科3)
永見 博子1)2) 安達 昌功1) 立花 克彦1)
朝倉 由美1) 今泉  清3) 黒木 良和3)
■キーワード
マイクロゾームテスト,甲状腺機能,ダウン症候群
■要旨
 ダウン症候群(ダウン症)患児795例の甲状腺機能を後方視的に検討した.マイクロゾームテスト(MT)陽性頻度は検査を実施した448例中105例(23%)と高く,また男女差は認めなかった.バセドウ病の患児および橋本病により治療を要した患児の頻度は各々2.4%,1.5%と一般人口に比べ高率であった.203例において縦断的な検討が可能であったが,MT陽性児が後に甲状腺機能異常症にて治療を要する頻度はMT陰性児の約6倍(15.6% vs 2.7%)であった.またTSHのみ高値を示し甲状腺ホルモンは正常域である患児が203例中61例あり,このうち3例(MT陽性)で原発性甲状腺機能低下を示したが,TSH値が正常化したものも半数以上見られた.
 ダウン症では甲状腺機能異常の発症頻度も高く,特にMT陽性児では定期的な検査を要すると思われた.また,高TSHを示す患児には様々な病態が考えられ,治療適応は総合的な判断を要すると思われた.


【原著】
■題名
小児期の眼窩蜂巣炎17例の検討
■著者
千葉市立海浜病院小児科
中田慎一郎 玉井 和人 星岡  明 中島 弘道
高橋 良仁 小俣  卓 鈴木 弘子 黒崎 知道
■キーワード
眼窩蜂巣炎,副鼻腔炎,Haemophilus influenzae type b
■要旨
 1984年10月から2000年6月の間に眼窩蜂巣炎の診断で千葉市立海浜病院小児科に入院した15歳以下の小児17例につき,その臨床像を検討した.年齢は生後17日から14歳で,1歳以下が47%を占めた.眼窩症状の有無及びCT所見により,3例を炎症が眼窩隔膜の後方に及ぶ眼窩蜂巣炎(狭義の眼窩蜂巣炎),14例を前方に限局する眼窩蜂巣炎(眼窩周囲蜂巣炎)と診断した.狭義の眼窩蜂巣炎全例が副鼻腔炎を合併しており,うち2例でCT上副鼻腔と眼窩内の炎症が連続していることが示された.眼窩周囲蜂巣炎では副鼻腔炎,上気道炎,結膜炎,鼻根部膿痂疹など種々の感染の合併を認めた.血液培養にて眼窩周囲蜂巣炎の2例よりHaemophilus influenzae type bを分離した.全例で抗菌薬の経静脈投与を行い,狭義の眼窩蜂巣炎の2例では外科的治療も要した.全例が軽快し,再発例はなかった.


【原著】
■題名
基礎疾患をもたない小児のA型インフルエンザ感染症に対する塩酸アマンタジンの使用経験
■著者
八雲総合病院小児科1),札幌医科大学小児科2)
曽根 滋巳1) 田中  徹1) 堤  裕幸2) 中田 修二2)
■キーワード
A型インフルエンザ,塩酸アマンタジン,小児
■要旨
 1999年12月から2000年1月にA型インフルエンザ感染症と確定診断した基礎疾患のない21例(1歳4カ月から14歳,平均5歳8カ月)に塩酸アマンタジンを治療目的で投与した.発熱後48時間以内の咽頭ぬぐい液を用いて迅速診断キットDirectigen FluA(日本ベクトン・ディッキンソン社)で陽性となった者を対象とした.投与量は5.0mg/kg/dayを5日間とした.これら21例を塩酸アマンタジン投与までの発熱期間が24時間以内(16例)と48時間以内(5例)の2群に分け投与後の発熱期間を比較した.24時間以内投与群では2.2±1.5日(平均±SD),48時間以内投与群では3.4±2.2日であった.発症から24時間以内に3日間投与することが,A型インフルエンザ感染症の経過の短縮に有効と思われた.


【原著】
■題名
細菌性赤痢に伴った急性脳症の1幼児例
■著者
福岡大学医学部小児科
益崎まゆみ 山口  覚 大府 正治
安元 佐和 小川  厚 満留 昭久
■キーワード
赤痢,急性脳症,疫痢
■要旨
 ベロ毒素を産生していない赤痢菌(Shigella flexneri)感染に伴った急性脳症の1例を報告した.症例は2歳10カ月男児.赤痢発症24時間以内に急性脳症を呈したが,末梢循環不全は認めなかった.従来の疫痢の臨床症状に類似し,重篤な神経学的後遺症を残した.
 我が国において疫痢は1970年以降消滅したと記載されているが,赤痢に急性脳症を合併し,かつての疫痢あるいは疫痢類似の臨床症状を認める症例が,現在なお存在していることを指摘したい.


【原著】
■題名
γ−サルコグリカノパチーの1女児例
■著者
市立長浜病院小児科1),長浜赤十字病院小児科2),
国立精神・神経センター武蔵病院DNA診断・治療室3)
多賀 俊明1) 鈴木 清高1) 渡辺みづほ1)
内田  靖1) 坂井 敦子1) 中川 栄二2)
田中 和彦2) 南  成祐3) 小林  治3)
■キーワード
肢帯型筋ジストロフィー,サルコグリカノパチー,γ−サルコグリカン
■要旨
 症例は生後8カ月時に筋原性酵素活性値が高値であったため精査を受けた.筋生検を施行され筋ジストロフィーの所見であったがそのタイプは確定しなかった.7歳6カ月時にも筋原性酵素活性値が高値であり,腓腹筋に仮(偽)性肥大があり,サルコグリカノパチーが疑われ,免疫組織検査にてサルコグリカン蛋白の欠損が認められた.そこで,両親および患児の遺伝子検索を行った.その結果本児はγサルコグリカン遺伝子の複合ヘテロ変異を検出し,γ−サルコグリカノパチーと診断した.




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